アリゾナ州のTPCスコッツテールで開催されたウエイストマネジメント・フェニックス・オープン(2月2日〜5日)で、ディフェンディングチャンピオンの松山英樹(24歳)が連覇を達成した。昨年はリッキー・ファウラー(28歳/アメリカ)とのプレーオフ、そして今年もウェブ・シンプソン(31歳/アメリカ)とのプレーオフを制して栄冠を手にした。

「これだけたくさんのギャラリーの中でプレーすることはなかなかないこと。その中で、本当に楽しく、集中してプレーができました。まあ、(自分のプレーが)いいプレーだったかどうかわからないけど、勝つことができてうれしいな、と思います。プレーオフに入ってからは、昨年と比べると今年はいっぱい、いっぱいだった。それは、体力的なもの。昨年は余裕があって『何ホールでもいけるよ』という感じだったけど、今年は『早く終わってくれ』と思っていましたから。そうした状況にあって、ウェブのパットがあとひと転がり、あとひと筋違って入らなくて、そのおかげで勝つことができた。それは、ラッキーだったと思う」


再びプレーオフを制して、フェニックス・オープン連覇を果たした松山英樹。photo by Getty Images 昨年の覇者であり、相性のよさもあるのだろう、松山は初日から好スタートを切った。ここ2試合で調子を落としていたショットが復調。ベタベタとピンに絡んでいくようなことはなかったものの、6バーディー、ノーボギーのラウンドで、首位と1打差の暫定2位で発進した。

「コースとの相性がいい? なんでいいプレーができているのか、自分ではちょっとわからない。勝手にスコアが出てくれている感じ。そういう意味では、相性的にはいいんでしょうね。とにかく今日は、ショットがグリーンをヒットしていた。それがよかったと思います」

 2日目、3日目も「68」とスコアを伸ばした松山。ただ、首位との差は4打差に広がって、連覇に向けてはやや厳しい状況となった。

「(2日目は)初日と同じで、いいところもあれば、悪いところあったという感じですね。パットについても、う〜ん……もうちょっとかな、と。悪くはないと思うので、明日からは入ってくれることを祈ってプレーしたい。

(3日目は)アイアンショットに関してはだいぶよくなってきたかな、と。ただ、ティーショットとパッティング、アプローチもそうですけど、そこら辺が少し足を引っ張っている感じがある。でも(トップと)4打差なら、まだ(優勝の)チャンスはあると思う。そのためにも、明日はミスをしないで(スコアを)伸ばしていけたらな、と思います」

 首位と4打差の3位タイで迎えた最終日。松山は前半からショットが冴えた。3番パー5でイーグルを奪って勢いに乗ると、5番でもバーディーを奪取して前半だけで3つスコアを伸ばした。後半に入っても、トップの安秉勲(アン・ビョンフン。25歳/韓国)がスコアを落とす一方で、松山は13番、15番でもバーディーを決めて、ついに単独首位に立った。

 その後、松山は16番で4m半、17番で2m、18番で6mというバーディーチャンスを迎えたが、惜しくもことごとく逃してしまう。結局、同じく通算17アンダーで先に上がったシンプソンとのプレーオフに突入した。

 プレーオフでは、シンプソンに何度となくチャンスが訪れた。しかし、それを生かすことができず、最終的には4ホール目でバーディーパットをきっちり沈めた松山が勝利。今季2勝目で、日本人選手最多となる米ツアー通算4勝目を飾った。

「自分では、そんなにいいプレーができているのかな、と思うけど、結果を見れば信じられないほどいい成績が出ている。ゴルフの内容と結果が一致していない、というのはある。でも、勝てたことは本当にうれしい。やっぱり、最初の3番のイーグルが大きかった。あれで、今年もいけるんじゃないかな、というのはあった。

(これまで米ツアー最多勝利の)丸山(茂樹)さんの3勝は早く超えたいと思っていたので、ここで超えられたのはすごくうれしい。(これまで)そこに挑戦したのも、僕だけですし。これで、『日本で一番のプレーヤーか?』と聞かれたら、僕はまだそうとは思わないですけど、そうなっていけるようにこれからもがんばっていきたい」

 早くも今季2勝目を飾って、快進撃を続ける松山。その強さについて、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏はこう分析する。

「(今季の松山は)いろいろな意味で全体のレベルが上がった、というのがまずひとつ。それから、ものすごく自信を持っている。それが大きい。これまでの松山は、技術があっても、なかなか自らのゴルフに対して自信というか、確信が持てていなかった。それが今は、自分のゴルフ、その日のゴルフ、あるいはその週のゴルフに対して、どういうふうにやれば、どれぐらいの結果になるのか、ある程度読めている。つまり、自分のゴルフがわかっているから、マネジメントをしやすくなっている。

 要するに、自分のゴルフを俯瞰して見ることができている。そのうえで、プレーしている自分と、俯瞰して見ている自分とのギャップがどんどんなくなってきている。それは技術がなければできないことだけど、松山にはそれだけの技術があって、自らのプレーのイメージと現実がうまくマッチングしている。

 また、自らを俯瞰して見られることによって、ミスに対しても、今や予想外のミスというのがほとんどなくなっている。”許せるミス”というのか、松山はあらゆるプレーにおいて自らのイメージがきちんとできたうえで、例えばミスをした場合はこうなる、というのがわかっている。だから、小さいケガで済むし、ミスしたあとのリカバリーもしっかりできる。おかげで、自らが思い描いていた試合全体の流れが大きく変わることがなく、そうやって試合が読めるから、それが結果につながっているのだと思う」

 今後の可能性、日本人選手初のメジャー制覇については、どうか。三田村氏が続ける。

「メジャーでの活躍が、ますます楽しみになってきたことは間違いない。おそらく、今季はまだまだ勝てるだろうから、あと2つ、3つは優勝できるんじゃないかと思っている。それが、メジャー大会のときにハマるかどうか、だけ。ピークをそこに持っていくのは難しいことだし、たとえ100%の状態に持っていっても、落とし穴があるのがメジャー大会だからね。でも、もちろんチャンスはある。それだけのゴルフの内容になっている」

 今季最初のメジャーは、4月のマスターズ(4月6日〜9日/ジョージア州)。松山の最大目標もそこにある。

「(マスターズに向けては)まだ不安な部分があるので、そこを少しでも取り除いていけるようにがんばりたい。また、マスターズまで今日のようなプレーを続けていくのは難しいと思いますが、悪いときでもすぐによくなるような練習をやっていきたい。とにかく、マスターズに向けていい準備ができるよう、しっかりと練習したい」

 夢舞台までおよそ2カ月。「調子は今ひとつ」「まだまだトレーニングが必要」という松山が、ここからさらにどんな”進化”を見せてくるのか、楽しみである。

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