シッター先の子供に肝臓の一部を提供した女性(出典:http://www.telegraph.co.uk)

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他人のために無償で何かをすることは容易ではなく、まして生前の臓器提供とあれば自分の命にも関わる一大事だ。しかしこの22歳の女性は、知り合ってわずか数週間の1歳4か月の女児のために自分の肝臓の一部を提供する決心をした。このほど無事に摘出・移植手術が成功したことを『The Telegraph』など複数のメディアが伝えている。

米ニュージャージー州のカレッジに通うカーステン・マイルズさんは昨年6月、夏の期間だけということで推薦されたロスコ夫妻の3人の子供たちのベビーシッターをした。

カーステンさんがロスコ夫妻と知り合って3週間が経った頃、夫妻の末っ子で当時9か月だったタリアちゃんが胆道閉鎖症を患っていることを知った。肝硬変に進行すれば命に関わるということで、タリアちゃんは肝臓移植をしなければ2歳の誕生日を迎えることは難しいとされていた。

3人の子供のシッターを始めてから間もなく、子供たちとの間に深い絆が生まれたカーステンさんはタリアちゃんを救うために自分の肝臓の一部を移植する意思をロスコ夫妻に伝えた。タリアちゃんの母ファーラさんは、その申し出に感謝しながらも「臓器移植は命に関わる大きな手術だから、どうかご両親とよく相談したりリサーチしたりして、十分考えてほしい」と伝えた。しかしカーステンさんの心はすでに決まっていた。

幸いにも、カーステンさんとタリアちゃんの肝臓は適合した。その後6か月に及ぶ様々な検査や手続きがあったというが、その間にカーステンさんは移植は一度きりであること、もし将来自分の子供がタリアちゃんと同じ状況になったり違う病気で肝臓移植を必要としカーステンさんと100%適合したとしても、今回タリアちゃんに肝臓の一部を提供すれば自分の子供に肝臓を提供することはできないということを医師から伝えられた。それでもカーステンさんは、今苦しんでいるタリアちゃんの命を救いたいと思い臓器提供を決心した。

1月上旬、フィラデルフィアのペンシルベニア大学病院でカーステンさんの臓器の一部摘出手術が14時間かけて行われ、隣接する子供病院にいるタリアちゃんのもとへと届けられた。移植手術は無事成功し、タリアちゃんは劇的な回復を見せ手術から9日後にはすっかり元気になったという。

現在、カーステンさんは回復途中だそうだ。「私にとってみれば、ほんの少しの苦しみだけです。1週間入院して13センチほどの傷が体にできるだけですから。誰かの命を救うことの方がはるかに大きく、タリアちゃんに臓器を提供してあげることができて本当に良かったと思っています」と話している。

カーステンさんの勇気ある行為を知った人々からは「将来のことを差し置いても、目の前の子供を救おうとしたあなたは天使だわ」「なんて素晴らしい人なの」「あなたみたいな人が世界にはもっと必要だね」「ご両親はあなたをとても誇りに思っているでしょうね」といった称賛の声が寄せられている。

カーステンさんはそうした声に感謝しながらも、臓器移植の大切さを社会にもっと知って欲しいと願っている。なお昨年12月には、22歳のイギリス人男性が事故で命を落とした後、50人以上に臓器提供をしたことで多くの人の命が救われたというニュースが伝えられていた。

出典:http://www.telegraph.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)