増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

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・エントリーシートはキラキラアピールの嵐
いよいよ就活シーズンが始まりますが、志望先企業に提出するエントリーシート(ES)の指導をしていると、出るわ出るわのキラキラの噴水です。特に理系に比べて具体的な能力などが表現しづらいという理由もあるのでしょうが、文系学生のESがよりキラキラする傾向があります。

例えば志望動機に「OB訪問でお会いした、貴社で活躍する先輩がキラキラ輝いているように、自分も社会の役に立てる仕事だと感じて志望しました」とか「キラキラ輝ける自分に成長できる職場に魅力を感じます」のたぐいです。こんな内容で私のところに持ってこられれば、徹底的に追及されるか修正されるでしょう。中身が全くのゼロだからです。

実は書いてある文言は、いいかげんな就活情報サイトや素人の書いた就職体験記などでは見かけないこともないような内容です。しかし一切そこに志望した理由はありません。それらしい響きの言葉を並べただけの中身のないアピールになります。

ESは「良い作文」コンテストではなく、採用したいという関心を惹くためのキャッチコピーであり、会社側はESを通じてしか個人としてのメッセージを受け取れない環境を説明し、それらを理解できる学生は、表現が拙いことはあっても、しっかりと会社への貢献を盛り込んだ説得力のある内容になっていきます。

・キラキラ会社
どうしてこんな中身のないアピールが出てくるのかといえば、それは会社側にも大き な責任があります。すべてではありませんが、会社自体がキラキラアピールをしていることは珍しくありません。もちろん会社案内ですから、ネガティブなことを正直すぎる表現で発信はできないでしょうが、「スタッフ全員、イキイキ、のびのび働く職場」とか「笑顔が絶えないアットホームな環境」のような表現はアルバイト求人媒体などで見かけます。

さすがに昨今はブラック企業批判があるので、こういう表現の職場がヤバいという認識は広がってきたようです。それはリテラシーの進歩ですから良いことだと思います。そうであればぜひ実際の就職においても、自らの発信をしっかりリテラシーをもって臨んでほしいのです。「キラキラ輝く自分」みたいな表現は、結局ブラック職場を疑わせるキラキラコピーであることを。

もっとも子供の名付けにおけるキラキラネームに代表される、嫌いな人から見れば異様な、好きな人から見ればファンシーなネーミングセンスをお持ちの人も一定割合でいる訳で、最後は好き好きという判断にはなります。しかし大事なのは「誰が判断するか」です。


・自然淘汰
キラキラネームにこれだけ批判があっても決して絶えずに存続しているということは、少なくともそれが良い、好きという人がいるからです。ここは誰が正しいかを競っても不毛で、どちらが通用し、どちらがその内淘汰されるのかを自分で考えて自分の責任で実行するしかありません。

就職なら単純です。「入社を決める人」の判断が最も上位だからです。普通であれば企業の人事責任者や社長など経営責任者の意思が最も優先されます。しかし中にはあまり学生に人気が無かったり、認知度が無い企業の場合は逆に学生の意思決定で入社が決まることもあります。決して企業だけが一方的に強い立場とはいえません。

いずれにしても好き嫌いはさておき、キラキラアピールの問題点はここです。自分中心であることです。それを評価する、審査する、受け止める人が他人であるという観点が欠如していることが最大の問題なのです。キラキラネームもキラキラ自己アピールもそれ自体は好き好きで良いでしょう。しかし結局のところ、就職などの「他人」が介在する人生選択において、おそらく不利になるかも知れない視点を持っていなければ、結局損するのは当人(名付けられた子含む)になり、自然淘汰・適者生存となるのだと思います。