『嘘の戦争』(フジテレビ系、関西テレビ制作)第4話。ホームページの相関図にはなぜか載っていないが、五十嵐(甲本雅裕)はどう見ても主要人物だと思う。


あらすじ


今回のターゲットは2人。30年前にOLを死なせた当時大学生のバカ息子・四条司(森岡豊)と、それを揉み消させた代議士の四条綾子(ジュディ・オング)、司の母だ。

一ノ瀬は、占い師に成りすましたハルカ(水原希子)を綾子の元へと送り込んだ。そして、税務調査員に扮した百田(マギー)、裏方の八尋(菊池風磨)と連携して見事に裏金の5億を金庫から盗み出し、さらにはバカ息子の司が出資法違反で逮捕され、めでたしめでたし。

今話で張られた大量の伏線


前回の三輪刑事(六平直政)への復讐と比べて、少し淡白な印象だった。それは、いつも一ノ瀬を嗅ぎまわっている隆(藤木直人)との接触と、綾子と司が怪しむシーンが一度も無かった事が理由だろう。つまり、嘘がバレそうになるドキドキ感みたいなものが全く無く、復讐が上手くいき過ぎたのだ。

その代わり、物語の本筋に影響のある出来事は大量に起きている。どちらかというこの第4話は、伏線重視回と言えるだろう。ただ、せっかくのジュディ・オングが当て馬のような扱いを受けているのは、少し寂しい。

五十嵐、発狂して千葉陽一と発する

五十嵐が入院している精神病院らしき所に、お見舞いと称して隆が一ノ瀬の事を探りに来る。しかし、五十嵐は発狂してしまい話にならない。仕方なく隆が帰ろうとすると五十嵐の口から「千葉陽一(一ノ瀬の本名)」とポツリ。全てを知る五十嵐が正気を取り戻したら、隆はここに来るだけで真相を知ることが出来るようになった。

隆、施設の子供たちと接触する

隆「千葉陽一を知っているか?」子供たち「浩一なら知っているけど」。そこに園長の三瓶(大杉漣)が登場して、隆を追い払った。これでもう一度子供たちと隆が接触したら、一ノ瀬と千葉が同一人物であるとを知ることが出来る可能性が高くなった。

お兄ちゃん、不貞腐れる

二科家の長男である晃(安田顕)が、隆に新しい事業で除け者にされて不貞腐れる。晃にとって唯一の味方であるはずの一ノ瀬にまで当たり散らしてしまう始末だ。アホなだけにどういう行動を起こすかわからない晃は、どう転ぶか一番わからない伏線になりそうだ。

一ノ瀬、楓の家に行く

風邪をひいたの一ノ瀬が、看病されに楓(山本美月)の家に行くというよくわからない展開。キスしそうになるが「風邪が移るから」と、一ノ瀬はそこでストップ。そういう優しさを見せるよりも、最後までした方が詐欺師としては優秀な気がする。これでお父さんである興三(市村正親)と会う約束を取り付ける事に成功した。

ハルカ、楓に嫉妬する

詐欺目的とはいえ、上手く行き過ぎている一ノ瀬と楓にハルカが嫉妬してしまう。楓が務める病院までわざわざ足を運び接触。つけていた指輪を「数百円で売っている安物だからそれをくれた男を信じるな」と、助言する。楓からしたらいきなり変な女が近づいてきて彼氏にイチャモンつけてきたというわけのわからない状況だ。これでハルカは、詐欺師として楓に近づくことが出来なくなってしまった。

百田、お金を欲する

せっかく奪った5億を勝手に一ノ瀬が恵まれない子供たちに寄付してしまい百田が憤慨する。それはそうだろう。何度も税務署の調査員役をしたのに、綾子への嫌がらせの為だけに報酬がなくなってしまったのだ。仮にも師匠なのにだ。怒った百田は、一ノ瀬を裏切ろうと八尋に提案する。これは一ノ瀬が悪い。

興三、刺客を呼ぼうとする

興三「六車を呼べ。録音をこの世から消す。場合によっては手にしている人物も」隆「ちょっと待ってください。30年前の過ちをもう一度繰り返すつもりですか」。まるで、腕は確かだが性格が猟奇的過ぎて出来れば使いたくない地下の牢獄に閉じ込めている怪物を魔王が呼ぶときのようなやりとりだ。六車とはなんなのだろうか?このドラマにはまだ登場していないタイプの人物である事は間違いない。

隆、ハッキングされる

八尋が作ったニシナコーポレーションを分析したデータを見る為に、隆はパソコンにUSBを差し込んだ。これでハッキング完了。隆がパソコンで何を見たのか一ノ瀬達に筒抜けになった。一ノ瀬にとって数少ない好材料だ。

書き出してみるとすごい量の伏線だ。今まで1話完結だったこのドラマだが、この回を見逃すと状況がわからなくなる大事な1話だった。しかし、個人的に一つだけ納得のいかないものが一つある。

それは隆が施設の子供たちと接触シーンだ。「嘘の戦争」の登場人物は全員数字が入っている。これは、あくまで制作側が名前を統一させるという遊び心でつけているメタ的なものであって、一ノ瀬も隆も「なぜ関係者全員に数が入ってるんだ?おかしい!」とは絶対に言わないし、言ってはいけない。

主人公の草なぎ剛が詐欺を行う時につける偽名もこの遊び心が使われている。本名が千葉裕一、主に使っている偽名が一ノ瀬浩一、他には一色祐一など、名前が全て似通っている。これも完全に視聴者サービスだ。詐欺師がわざわざ本名に近い名前を偽名で名乗るメリットなど何もないからだ。

だが、施設の子供たちは陽一という名前を聞いて「浩一なら知っているけど」と答えてしまい隆にヒントを与えている。例えばこれが浩一ではなく、タクマという名前だったとしたらこの受け答えは絶対に成立しないはずだ。暗黙の了解として行われていたメタ的設定が物語に影響を及ぼしてしまっているのはどうなのだろう?

この後、誰かの「なぜ関係者全員に数が入ってるんだ?おかしい!」という発言から物語の根幹を揺るがすような真実が暴き出されるのならこれもアリだが、それはおそらくなさそう。よって、このシーンは少し気持ち悪い。というか、ズルい気がする。これがありなら、一ノ瀬「万田?数字がついてるからこいつも関係者っぽいな」がアリになってしまう。

今夜のターゲットは、OL殺しの主犯・九島だ。この復讐を終えたら、残すはラスボス興三のみ。まだ中盤でここまで迫っているという事は、後半にまた大きな展開が待っているはず。まだまだ盛り上がっていきそうだ。

(沢野奈津夫)