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日本の自動車メーカーにとって“ドル箱”の米国市場。トランプ政権発足の影響もさることながら、ここへきて顕著になりつつある需要シフトも気になるところだ。トヨタ自動車の見方は。

○総販売台数に占めるウェイトが最も大きい北米事業

トヨタ自動車は2016年度第3四半期の決算を2017年2月6日に発表した。決算会見では北米市場の見方について多くの質問が出ていたが、まずは同社の決算内容をざっと見ておこう。

2016年度の9カ月累計(2016年4月〜12月)の売上高は、前年同期比6%減の20兆1547億円。営業利益は同32.5%減の1兆5554億円となった。減益の大きな要因は円高で、為替変動の影響は7,700億円に達する。

ちなみに2016年度の通期見通しについては、営業利益を前回発表から上方修正している。具体的には中間決算時に1兆7000億円と見込んでいた営業利益を、今回の予測では1兆8500億円へと引き上げた。上方修正の要因として大きいのは、通期の想定為替レートを1ドル103円から107円に変更したことだ。

グループのダイハツ工業と日野自動車を抜いたトヨタの連結販売台数を見てみると、2016年度の通期見通しは890万台となっている。このうち最も大きな割合を占めるのは北米の284万台だ。このように重要な北米市場だが、米国の先行きは不透明な情勢となっている。

○トラック系は販売好調、新型「カムリ」でセダン市場を開拓できるか

「大きな市場であることに変わりはない」。決算会見に登壇したトヨタ常務役員の大竹哲也氏は、米国市場の先行きについてこのように表現した。暦年で見た場合、2016年は1,755万台のクルマが売れた米国。トヨタの予測では、2017年の販売台数は1,720万台程度になるという。

ではトヨタの米国事業は今後、どのような見通しなのか。「(2017年は)マーケットは前年割れでも、(新車投入の効果などでトヨタは)前年並みを見込む」(大竹常務)というのがトヨタの考えだ。米国の自動車需要はセダンからSUVを含むトラック系にシフトしているが、トヨタでは「RAV4」、「ハイランダー」、「タコマ」、「タンドラ」といったトラック系の車種が販売好調。今後は「C-HR」や新型「カムリ」といった新車の投入も控えることから、米国での販売は堅調な状況が続くと見ている。

セダンの市場環境は厳しく、各社が販売奨励金(インセンティブ)を積み増して値下げ競争を繰り広げているらしいが、カムリは米国で長きにわたりベストセラーの地位を維持した実績のあるクルマだ。新型カムリが米国のセダン需要を刺激できるかどうかにも注目したい。

トランプ政権発足の影響については「現時点で見通すことは難しい」(大竹常務)とするが、気になるのは、実際に米国が関税引き上げなどの施策をとった場合の対応についてだ。大竹常務によると、トヨタは5年間で1兆円の投資を米国で行うと発表しているが、現地の生産台数については、今後も大きく伸ばす計画はないのだという。トヨタは米国でフル生産に近い操業を行っているため、もし米国向け輸出が難しくなった場合でも、米国の既存工場で生産台数を引き上げて対応する余地は乏しい。

ちなみに2015年度のデータを見ると、トヨタが米国で生産した自動車が約197万台だったのに対し、販売したのは約284万台と100万台近い開きがある。単純に引き算をしてみても、米国向け輸出が滞った場合の影響の大きさは想像できるわけで、トランプ政権の動向からは目が離せない状況だ。

(藤田真吾)