ムシヤ・シクカさんはコンゴ人のヘアスタイリストで、アメリカのケーブルテレビ<WE tv>の番組『Cutting It in the ATL』のリアリティスター。2人の娘を持つ彼女は、これまで何度となく娘たちのために人形を探してきたけれど、どれも娘たちとは似ても似つかないもの(色の薄い肌に青い眼、ブロンドの人形)だったのだそう。

そこでついに彼女が思いついたのが、自分の手で、娘たちが親しみを持てる人形を作ること。

そして、これがその人形、カラシー。

カラシーはシクカさんの娘たちそっくり。ダークトーンのゴージャスな肌、大きな目、丸い鼻、ふっくらした唇、100%ナチュラルなエチオピア風の髪(実際に、1度もカラーリング剤などの化学薬品を使ったことのないエチオピア女性が寄付した髪の毛を使用しているそう)。それだけでなく、彼女のこだわりは人形のドレスにも。カラフルなアフリカンプリントで、市場に出回っている人形が着ているのとはまったく違い、黒人女性を1番美しく見せるものをセレクトしているのだとか。

カラシー発売までの一連の経緯や、少女たちが自分に似た人形を持つことの重要性について、シクカさんがコスモポリタン アメリカ版に語ってくれました。

――なぜこの人形を作ろうと思ったんですか?

私の娘たちは今、5歳と7歳です。ですから、これまでにどれだけバービー人形をプレゼントされてきたか、想像がつくと思います。でも実は、それらのバービー人形は、捨てたり、返したりして来ました。すごく厳しいと思われるかもしれないけど、娘たちとは似ても似つかないものだったからです。

もっとも、黒人の人形を見つけたときも、肌の色は曖昧だし、毛がなかったり、または頭に毛糸がついていたり、真っ直ぐなプラスチックのヘアだったり、大きな丸いカールヘアだったりしました。どれも子どもの髪とは違います。うちの子は、完全な縮れ毛です。だから、それも買いませんでした。女の子が人形を見ることの心理的な影響を考えると、彼女たちに似た姿の人形を与えるべきだと思ったのです。

娘たちが人形を持つなら、それは彼女たちの鏡像であって、それによって自信をつけられるものでなくてはなりません。私は教育玩具の支持者でしたから、娘たちはそういったもので遊んでいました。でも、やがて人形が欲しくなる年齢になり、一緒に人形を探しに行きました。1つも見つけられなくて疲れた頃、娘がこう言ったのです。「ママ、私たちが作ったらいいんじゃない?」。それはいい考えだと思いました! みんなでアイスクリーム屋さんに座って、プランを練りました。この計画には娘たち自身にしっかり関わってもらいたかったので、どんな人形がいいか、絵に描いてもらいました。最初はただの思いつきだったものが、1年後に実現し、娘たちがその人形を手にしているのを見るのは、素晴らしい経験でした。

――黒人の人形が市場にあまり出回っていないのは、なぜだと思いますか?

長年、美の基準はストレートヘアの白人の女の子でした。もし人々が黒い肌と縮れた髪は美しくないという固定観念を抱いているとしたら、そんな人形を作ろうと思うはずがありません。だからこそ、私たちはこの人形によって美の基準を作り直し、"ブラック・イズ・ビューティフル"を再確認しようとしているのです。

アメリカの大型玩具店には黒人の人形があるのですが、かつては奴隷の服を着ていました。私はものすごくショックを受けたものです。これが女の子たちの憧れの存在? 奴隷が? 私は買うことを断固拒否しました。

他にも黒人の人形はありましたが、どれも縮れ毛をしていませんでした。私の人形に100%本物の縮れ毛を使ったのは、子どもたちに自分の髪は美しいのだとわかって欲しかったからです。多くの黒人の母親は、普段学校に行くときは娘の髪をそのままにしているのですが、何か特別なときにはストレートに伸ばします。これが問題で、「いつもは縮れ毛でいいけど、特別なときにはストレートにすれば、もっとかわいくなるのよ」というメッセージになってしまうのです。ひどい話です! 私が娘にこの人形で遊んで欲しいのは、人形が縮れ毛の大きく広がった髪をしているからです。今では、特別なときに娘たちはこう言います。「お人形みたいな、大きな髪にして!」。

――私(インタビュアー)もこの人形が大好きです。縮れ毛で、大きな茶色い眼、ふっくらした唇、それにアフリカ的な衣装。このドレスはどうやって選んだのですか?

奴隷の服を着させる代わりに、アフリカの王や女王が着ていたものに似たキクウェンベプリントのドレスを着させました。黒人の歴史を語る際、多くの人々は奴隷時代から始めます。でも、実際の歴史は数千年前に始まります。私は奴隷の歴史は全体の2%に過ぎないと考えています。それこそ、私がこの人形に象徴させたかった、偉大なる黒人の歴史です。

私たちとショーに出てくれた美しいモデルさん。私たちの人形を見て、"私も欲しい"とママにおねだりしていたけど、そのときはまだ試作品しかなかったの。早く彼女が人形を手にして、持つたびに明るい表情を見せてくれる日が待ちきれない、だって人形は彼女と似てるから! 心が温かくなったわ。

――あなたは、人形が子どもの自尊心と自己愛を育てることを願っていると語っていますが、あなたの人形を手にしたとき、子どもたちにどう感じて欲しいですか?

手にした人形の美しさを見て、それが自分自身の美しさなのだと分かって欲しいと思います。この人形で遊ぶことで、自尊心と自己愛を培って欲しいのです。健康な自尊心を持った子は、自分が大切な存在であることを理解しているので、大きくなっても、虐待的な関係を持ったり、商業主義に身を任せたりすることは少ないでしょう。人形によって子どもたちが自分に自信を持ち、私たちのコミュニティに良い循環が起こることを願っています。

このお人形に感謝!

――人形を発売して、どんな反響がありましたか?

信じられないほどの反響がありました! クリスマス前のときですでに 、人形はほとんど売り切れたんです。娘たちが人形を持って外に出ると、ちょっと歩いただけで決まって誰かに声をかけられます。目新しいので、あらゆる人種の人が注目するんです。唯一私が予想しなかったのは、白人の人がこれをとても気に入って、欲しがったことですね。私たちに似た姿のものはほとんどないので、ブラジルからも注文が来ます。

ついに私たちと似た髪の人形登場! 私の人形は、少女たちが自分に似た人形で遊ぶために作ったもの。ロールモデルとしての人形と遊ぶことで、美の基準と自尊心が形成されるわ。だから、子どもたちは常に自分自身に似た姿の、濃い色の肌と縮れ毛に見慣れることが大切なの。

――もっと人形を作る予定はありますか?

もちろんです。カラシーは第1作で、これからはもっと様々な肌の色や髪をした、他のマイノリティの人形を作る予定です。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US