ふるさと納税の返礼品が時価総額○○万円を超えると所得税の課税対象!?

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昨年末に年末調整の一環として、ふるさと納税に申し込んでみたという方も多いのではないだろうか。最近は各自治体も納税者を集めようと、様々な商品をパッケージしてお得感を全面に出している。その過熱と人気は、総務省が高額返礼品の自粛を要請するほどに高まってきている。しかし返礼品と言っても、どれくらいのものが実際には返ってくるのでだろうか。「教えて!goo」にも、「ふるさと納税について」と、同じような質問が寄せられている。

■ほとんどが納税額以上

質問者は1万円の納税額に対して、返礼品の価額が7千円ほどしかなかったと不満を漏らしている。これに対して、他にどのような返礼品があったかが回答で示された。

「私は吉備中央町へ1万円寄付し、米20キロもらいました。あと、綾町では豚肉2.5キロ(結構いい肉です)もらいました。ほかにはうなぎ(3尾)をもらったりもしました」(ma-fujiさん)

「自分は山形のどこからか米60kgもらいました。これで2000円。戻りがあまりに高額な自治体は、国から指導されてるらしいですよ」(precure-5さん)

返礼品の基本は、各自治体の特産品である。その中でも、有名な地酒やブランド肉となれば抽選制となるため、なかなか手に入らないこともある。一方で、人気のない自治体の中で、いかに掘り出し物を見つけるかという楽しみもある。また、ほとんどの自治体が「◯◯円相当」と価格還元率からのお得感を出しているが、地元で生産されたものを安く調達しているため、少し還元率が低くても、実際届いてみると十分満足感を得られるくらいなことも、魅力の一つだ。

■高額返礼品には、所得税課税も!?

しかし、お得感を追求し過ぎるあまり見落としているしまっている点がある。この返礼品の落とし穴について、元国税調査官・税理士の松嶋洋氏に解説していただいた。

「非常に魅力的なふるさと納税の返戻品ですが、これについても所得税の課税の対象になりますので注意が必要です。具体的には、返戻品を時価評価して、一時所得として課税されることになります。具体的には、一時所得は、以下のような特典があります」
(1) 一時所得を得るために直接支出した金額は、控除できる
(2) (1)から控除した金額から、特別控除として50万円控除できる
(3) (2)の残額の2分の1に対し、所得税が課される
「注意点としては、上記(1)の支出した金額に、ふるさと納税の寄附額は含まれないとされていることです。このため、寄附した金額を考慮することなく、返戻品の時価が課税対象になります。以上を踏まえると、1年間でもらった返戻品の金額が50万円を超えるようなケースについて、所得税の申告を検討すればいいことになります」

住民税控除のために寄附をしたとしても、その返礼品で所得税を納税しなおさねばならいことになれば、本末転倒になる。しかし、どうしてこうした落とし穴が指摘されてこなかったのだろうか。

「一時所得として課税されるとは言っても、50万円を超えるような返戻品を一年で取得するケースは多くないこと、返戻品によっては時価の計算が難しいことなどの理由により、国税が税務調査で課税したという事例は耳にしたことがありません。しかしながら、ふるさと納税が有用な節税手段として認知されるとともに、高額な返戻品を支給してまで寄附を得ようとするやりすぎの自治体も多いことからすれば、今後は厳しい対応がなされる可能性が大きいと考えられます。ふるさと納税を活用することは問題ありませんが、返戻品の時価についても考慮した上で、適正な申告に努める必要があると言えます」

今後ふるさと納税がより一般的になっていけば、自治体間の競争は避けられない。それはまるで納税バブルのように膨れ上がり、国としても対応に追われることになるだろう。私たちとしても、充実される返礼品に浮かれることに終始するのではなく、正確な租税知識のもとに、ふるさと納税の計画を練るべきである。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供中。

(ライター 樹木悠)

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