金正恩氏(写真集「人民の偉大な空」より)

写真拡大

北朝鮮が金正日総書記の生誕記念日にあわせて開くフィギュアスケート大会に国際的な選手を招請するという。大会を企画したのは、金正恩党委員長とあのお騒がせ有名スポーツマンを引き合わせた人物だった。

女学生がコンパニオンとして

カナダの民間団体である白頭山文化交流社はウェブサイトを通じて、今月15日から17日まで平壌氷上館で、第25回光明星節慶祝白頭山国際フィギュアスケート祝祭が開催されると発表した。光明星節とは金正日氏の生誕記念日だ。

この白頭山文化交流社を運営するのが、カナダ人男性であるマイケル・スペーバー氏。2013年、米プロバスケットボールNBAの世界的な元スター選手であるデニス・ロッドマン氏が、いきなり北朝鮮を訪問。金正恩氏とも面談し世界を驚愕させた。二人の仲を取り持ったのが、スペーバー氏だった。

ロッドマン氏は、翌2014年にも訪朝し金正恩氏の誕生日(1月8日)を祝った。2年連続で、世界的なスーパースターに会った正恩氏は、大はしゃぎだった。しかし、その裏では、ロッドマン一行を接待するパーティーに、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員され、乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは陰で泣いていたという。

(参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

北朝鮮では古くから外国のVIPが訪問した際、接待役として「喜び組」があてがわれるという噂がまことしやかに流れている。喜び組の実態や接待内容については、いまだに謎に包まれているが、ロッドマン氏を女学生が接待したように、なんらかの形で女性達が海外のVIPをもてなしているようだ。

ただし、北朝鮮滞在時の素行が悪かったのか、ロッドマン氏は2014年を最後に訪朝しておらず、訪朝するという話すらでてこない。

金正恩氏のトイレ事情

一方、金正恩氏とロッドマン氏の仲を取り持ったスペーバー氏が運営する団体は、昨年の白頭山国際フィギュアスケート祝祭に、2014年のグランプリファイナル、2015年の世界選手権で優勝したロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手をはじめ、ラトビアのアリーナ・ヒョードロワ選手、ベラルーシのヤニナ・マキーンカ選手、カナダのエラッジ・バルデ選手を招請した。

今年の大会にも、オリンピックの金メダリストや、ヨーロッパなどの国際主要大会で入賞した選手など、国際的なフィギュアスケート選手8人から参加の確約を取り付けたとしている。このように、それなりの人脈と企画を成立させる能力をもっているスペーバー氏だが、過去には「大ぼらを吹いた」経歴を持つ。

スペーバー氏は、昨年3月の平壌国際アイスホッケー親善大会の窓口となり、ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)所属の有名選手が参加すると発表した。しかし、カナダの民放CTVや米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、誰が参加するのかを明らかにしなかった。結局、参加したのはアマチュア選手14人だけだった。

こうした過去を持つスペーバー氏だが、カナダの週刊誌マクリーンズは2013年12月の記事で、彼のことを「北朝鮮に信頼され、物事を進められる稀有な人物」とし、その人物像を詳しく報じた。

カナダのアルバータ州カルガリー出身のスペーバー氏は、2005年にバンクーバーのNGOから平壌の学校に半年間、英語教師として派遣されたことをきっかけに、北朝鮮と深い関わりを持つようになった。北朝鮮訛の朝鮮語を操り、現在は中国吉林省朝鮮族自治州の延吉市に在住しながら、北朝鮮のビジネスコンサルタントと文化、教育、スポーツ交流を行う白頭山文化交流社を運営している。

詳細は明かせないが、彼を知る人物の証言や周辺情報をまとめると、金正恩氏が心を開く数少ない人物、すなわちマブダチであることは間違いなさそうだ。ということは、なかなか伺い知ることの出来ない正恩氏の一面、例えば現地指導の際、一般のトイレを使用できず、専用車のベンツに「代用品」を載せて移動しているなどのトップシークレットも知っているのだろうか。

スぺーバー氏が北朝鮮に深く関わる動機は、北朝鮮という国にビジネスチャンスを見いだしたことかもしれない。しかし、単なる金儲けなどではなく何らかの形で北朝鮮と国際社会の橋渡しになりたいという純粋な思いも持っていると聞いている。

もし、そういう思いを持ち、なおかつ金正恩氏とマブダチ関係にあるとするなら、ロッドマン氏のような素行不良で名をはせる有名人ではなく、もう少し北朝鮮と正恩氏のイメージアップに貢献するような有名人を北朝鮮に招請してほしいものだ。