迫力すごい…ネオナチ集団のリーダーを演じたパトリック
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 新作ソリッドスリラー『グリーンルーム』で、『X-MEN』シリーズなどでの正義感が強い役柄から一変し、極悪なネオナチのリーダーを演じた名優パトリック・スチュワートと、メガホンを取ったジェレミー・ソルニエ監督がインタビューに応じ、同役へのアプローチについてそれぞれ振り返った。

 無名のパンクロックバンドがとあるライブハウスで演奏をするも、そこはネオナチ集団の巣窟だった。さらに間の悪いことに、バンドのメンバーたちは殺人事件を目撃してしまい、命を狙われるはめに……。27歳の若さで事故死したアントン・イェルチンさんや『マイ・ファニー・レディ』などのイモージェン・プーツらが、ネオナチ集団を相手に奮闘する若者を演じている。

 本作で衝撃的なことの一つが、サーの称号を持つ名優パトリックが極悪非道なキャラクターにふんしていること。当の本人であるパトリックは「この役を引き受けたのは脚本も役柄も素晴らしかったからです。私には正義のイメージが強いかもしれませんが、映画やその他で何度も悪役を演じているのです」とこの役を引き受けるのにためらいはなかった様子。「彼が大事にしているのは自分を守ることだけでしょう。他人のことなんか、きっとお構いなしだと思います」と冷静に分析してすらみせる。そんな悪役を務めるのに、参考にした人物などはおらず、「唯一のアプローチは役柄の真実を見いだすこと」と言い切るパトリック。その言葉通り、凄みのある人物に仕上がっている。

 一方で、パトリックとのタッグを「宝くじに当たったようなもの」と表現するのはソルニエ監督。「実際一緒に仕事をしてみて、パトリックはとても親切で、ストーリーに没頭してくれました。それに、“大御所映画俳優”という雰囲気を消して現場に馴染んでくれたんです。自分の存在を世界観に溶け込ませることができる素晴らしい人だったので、非常に感謝しています」と称える。しかし、唯一パトリックにお願いしたことがあったという。「それは“ボリューム”を下げてほしいということでした。それを聞いて、彼はビックリしていました。彼はもともと舞台役者で、映画でもこれまで演じてきた役は大きく声を出すような役が多かったでしょうからね」と指摘。

 「だから『グリーンルーム』ではほとんど囁くような声で、マイクを近付けるほど静かにしゃべってもらうようにお願いしました。彼はものすごく存在感がある人なので、そういう人が大声を出すと演技が大きくなりすぎてしまうように思うんです」とソルニエ監督は続け、「その役は並外れたカリスマ性やオーラを持っているだけでなく、すごく静かで、それでいて慈悲にみなぎっているというところを見せたかったのです。大声を出さなくても、彼の存在感で周りの人が言うことに従ってしまう。一緒にいて居心地がいい穏やかな人だけど、同時にとんでもない酷いことをする。そんなコントラストを見せたいと思いました」と監督なりのビジョンを明かした。

 また、急逝した共演者のアントンさんについて、パトリックは「残念ながらアントンとは撮影中はほとんど個人的なコミュニケーションは取っていませんでした。アントンに限らず、他のキャラクターたちともあまりコンタクトをとりませんでした。でもそのお陰で、(敵対する)お互いの役柄にふさわしい演技ができたと思います」と述懐。しかし、本作のプロモーション期間は一緒にとても良い時間を過ごしたそうで、「彼を失って深い喪失感を感じますし、これからもずっとそうです」とアントンさんとの別れを惜しんでいた。(編集部・石神恵美子)

映画『グリーンルーム』は2月11日より新宿シネマカリテほか全国公開