IPO申請のスナップ、上場時の株式購入を賭けとみる3つの理由

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消えるメッセージのやりとりを可能にし、その後も新たな機能を追加してきた「スナップチャット」を運営するスナップは2月2日、新規株式公開(IPO)に向けて米証券取引委員会に上場申請書類を提出した。そのサクセス・ストーリーは、ベンチャー企業の支援を受けるテクノロジー関連企業の上場が相次いだころのように、IPO市場を再活性化するきっかけとなるかもしれない。

上場すれば、スナップの時価総額は200億ドル(約2兆2,500億円)に達するとみられ、新興成長企業の株価水準の妥当性を見る株価売上高倍率(PSR)は、5倍になると予想されている。

ただ、そのスナップには強力なライバルであるフェイスブックがおり(フェイスブックのPSRは約15倍)、上場が実現しても当面、スナップ株は買わない方がいいかもしれない。特に説得力がある具体的な理由は、以下の3つだ。

1. 損失

フェイスブックや競合他社がサーバファームを保有している一方で、スナップはサーバーもストレージも自前ではない。そして、スナップは多額の資金を失っている。2015年の損失額は約3億7,300万ドルだったが、2016年は約5億1,400万ドル。さらに、上場申請時に提出した書類によると、スナップのフリーキャッシュフローは2015年12月末で3億2,580万ドル、2016年12月末で6億7, 770万ドルだ。

IPOによって数十億ドルの資金調達が可能になり、生き残っていくことができたとしても、多額の損失や現金燃焼率の上昇は、スナップの利益性に疑問を持たせる。

2.  シェア低下

時価総額の上昇によって成長に拍車がかかったとしても、投資家たちは競合他社の影響によって、同社の成長が減速する可能性を警戒しなければならない。 フェイスブックのインスタグラムはスナップチャットをまねた機能を多く持っていることから、ソーシャルメディア・マーケティングに関する情報を提供する専門サイト「ソーシャルメディア・エグザミナー」は、フェイスブックがスナップチャットのシェアを奪うことになると指摘している。

インスタグラムの「stories(ストーリーズ)」はフェイスブック上の友人やフォロワーたちを探したり、そうした人たちとつながったりすることがより簡単になっており、スナップチャットのストーリーズよりもシェアしやすくなっている。

ソーシャルメディア・エグザミナーは、「スナップチャットはユーザーたちに投稿者のビジネスや生活の内側を見せる機会を提供するが、簡単に他のユーザーとつながることはできない」と指摘している。

3. 一般株主への対応

スナップには、フェイスブックと共通するものがある。それは、共同創業者たちが決定的な議決権を持つことだ。もちろん、フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグも議決権の過半数を保持しており、株主に「非友好的」だ。だが、スナップが計画しているのは議決権のない新株のみの発行であり、共同創業者であるエヴァン・スピーゲル最高経営責任者(CEO)とロバート・マーフィー最高技術責任者(CTO)は上場後も、合わせて議決権の89%近くを持つことになる。

申請書類には、「スピーゲル、マーフィー両氏がスナップの利益と考えるものが、一般株主の利益と一致しない場合もあり得る」との記述もある。スナップ株を購入するということは、同社が毎四半期、見通しを超える業績を上げることに賭けるということだ。そうした成長が実現されなければ、株主は同社株を売却することができる。ただし、取締役会に対し、より良い経営幹部チームを組織するための交代を求めることはできない。

IPOでスナップの株価は上昇するだろう。ただし、それから数か月で下落する可能がある。同社が急成長を遂げ、利益性を高めるための道筋を示すことができれば、将来にはより理にかなった「エントリーポイント」が見えてくるのではないだろうか。