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◆生産性向上のために会議の見直しが叫ばれている

 労働基準法違反の摘発が後を絶たず、「次はうちか」と勤務改善に取り組み始めている企業は少なくない。働き方改革の機運と相まって、過長労働を是正する取り組みが加速している。労働時間短縮の趨勢の中、企業は、生産性向上の取り組みをし始めている。生産性向上のためのサポート依頼が増えている

 依頼内容は、会議の時間の短縮と質の向上に主眼を置いたものが多い。企業や団体における会議が、2時間かけても、3時間かけても結論に至らなかったり、参加者が腹落ちしなかったりして、合意形成という本来目的を果たしていない。にもかかわらず、1日の勤務時間の中で会議の占める割合が高く、いわば無駄な会議が生産性を低下させているというのだ。

 私が年間100社から参加いただき展開している分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの基本12プログラムの中でも、この半年、「1時間で必ず合意形成できる4つの質問スキル」というプログラムの実施ニーズが高まっているのは、こうした背景があると思われる。

 このプログラムの構造は、至ってシンプルだ。100名が一同に会する指示伝達の会議ではなく、10名程度の実質的に合意形成が可能なメンバー数で会議を行う前提だ。例えば方針説明をする人がいる。その人とは別の会議の進行役が、4つの質問スキルを使って、会議の合意形成をしていく手法だ。

◆4つの質問で1時間で必ず合意形成する

 4つの質問とは、「洗い上げ質問」「掘り下げ質問」「示唆質問」「まとめの質問」だ。方針説明をする人が説明を行ったら、会議進行役が、まず、「洗い上げ質問」を繰り出す。今の説明に対して、「気になることがありませんか?」「反対意見をどんどん出していただけますか」……懸念や異論を、文字通り、ひたすら洗い上げるのだ。

 1時間の会議だと、洗い上げに15分を費やす。10名の会議で15分用いれば、大概のトピックスで洗い上げを尽くすことができる。洗い上げが出来たところで、進行役は、「掘り下げ質問」に移行する。

 「掘り下げ質問」は、「いま洗い出された5つの懸念のうち、最も深刻だと思う点はどれですか」「3つ意見を出されましたけれども、どれを先に議論したいですか」というように、議論の優先度が高い課題は何か、掘り下げていくプロセスだ。この「掘り下げ質問」に用いる時間も、経験的には、たいてい15分だ。

 その上で、最も優先度合が高い課題が、例えば、「方針の必要性はわかるけれども、それを実現するリソースが不足している」であるとか、「実施したいけども、それに当てる時間がない」というようなであったとしたら、では、「リソースが充足できれば賛成ですか」「タイムスケジュールを引き直せば、少なくとも反対はしませんか」というように、前提をおいて、ある示唆をして、方向性を絞り込んでいく。私はこれを「示唆質問」と呼んでいる。

 「示唆質問」を繰り出した結果、合意が得られそうであれば、結論の共有をするのだが、それも結論を伝達するのではなく、質問により行う。それが、「まとめの質問」だ。「懸念は解消されて、この方針を実行することで、よろしいですか」「スケジュールを引き直す前提で、実行フェーズに入りたいと思いますが、さらに懸念がありますか」という質問だ。これにより、参加者のコミットメントを形成する。

◆決して応酬しないこと

 この演習を実施する前にと、必ずといっていいほど出される意見が、「会議の冒頭で洗い上げなどを行ってしまったら、それこそ紛糾する。寝た子を起こさない方がよい」というものだ。実は、その意見は、全くの杞憂だ。この4つの質問を、普通に素直に繰り出して行けば、決して紛糾しないのだ。演習を実施して初めて、参加者は、目からウロコの実感を持っていただく。