冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』が休載されてから28週目。今回は単行本28巻を振り返りながら、冨樫の描く食事シーンについて振り返る。


28巻はこんな話


蟻の王VSネテロがついに終止符。左腕、右脚をもがれたネテロは蟻の王の本当の名前を明かすと同時に、胸に仕込んだ小型核爆弾を起動。王であるメルエムも避けきれずに被爆してしまう。
直属護衛軍のプフとユピーが駆け付けたときには、四肢をもがれて瀕死、作りかけの木彫り人形のような状態になって発見される。
「私を召し上がっていただく それだけの事…!!」
王の復活を果たすため、2人はそれぞれの体の一部を露状、液体状にして王に栄養を届ける(固形だとバリボリ噛まなくちゃいけないから体に障るだろうし)のだが……。

蟻の王は食レポも上手っぽい


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ お お お お お お

ミスト状のプフを口にした途端、王は眼を見開き、その体は光に包まれ始めた。

えもいえぬ美味…
楽園の…空気を吸うがごとく…
力が…
みるみる満ちてくるのがわかる…
まさに妖精の霧(ミスト)

目の焦点が合わないまま、絞り出すように、壮大な世界観を想像させる言葉で食レポを始める。
被爆する前までは理路整然、冷静沈着でいた王だが、キャラが崩壊するほどの味であることがわかる。

ウマいものを食べたら、恍惚的な表情を浮かべてキャッチーなコメントを残す。王の食事以前にも作中で似たような光景を見たことがある。

う…うまいっっ!!
濃厚でいて舌の上でとろけるような深い味は市販の卵とははるかに段違いだ!!


単行本2巻に出てきた絶品グルメ、クモワシの卵を食べたバーボン、ゲレタ、ハンゾー3名のリアクションである。そのウマさはクールな彼らが思わず、汗をかいてしまうほど。特にハンゾーはビックリしていつもよりもちょっと細長い顔になっていた。

絶頂する料理漫画


あまりの美味に恍惚を感じてしまう描写があるのは料理漫画・アニメでは時々あること。たとえば、アニメ中華一番の第13話「完成ナマズ麺! 運命の判定」。


アヘンの材料であるケシの実が盛られたイカスミビーフンに手をつけた雑魚キャラたちが、飲み込んだ瞬間、宇宙で爆発を起こし、白目をむいて夢中で貪っていた。
このシーンこそ、漫画・アニメの中で最も狂気を感じる食事シーンかと思っていたが、今回の王のそれは互角以上だ。

『食事』を提供した側も恍惚に浸っていたからである!
王からお褒めの言葉をいただいた結果、プフは顔を赤らめてハァハァ言い始め、ユピーは「くあっ」って咽び喘いでいた。

ああ……!!
王……!! 王!! 王!! 王!!
もうこれ以上私を!!
喜びの天空へと誘うのはおやめ下さい!! もう!! おっおっおおおおおおおお

この上ない至高!!
極上の歓び!!

最後は2人揃って見開きで涙ながらに天を仰ぎ、絶頂を迎えているかのようだった(このあと、彼等は本当の意味で『昇天』することになる)。
プフとユピーが王を快楽に誘い、また、王も両名を快楽に誘う。男と女の関係みたいである。
ここまでいくと、次回作は狂気じみた官能的料理マンガを描いてほしいと願ってしまう。
ただ、少年ジャンプGIGA 2016 vol.2で、冨樫は、次回作はカードバトル漫画を描きたいと意欲を見せていた。でもいつかは官能的料理バトル漫画も描いてはくれまいかと。
(山川悠)

参考→『HUNTER×HUNTER』再開を待ちながら1巻から読んでみる