北海道・函館でオールロケを敢行

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 夭折の作家・佐藤泰志さんの初期の代表作「きみの鳥はうたえる」の映画化が決まり、「Playback」がロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に出品された三宅唱監督がメガホンをとることが明らかになった。

 佐藤さんの原作は、これまでに熊切和嘉監督作「海炭市叙景」(2010)、呉美保監督作「そこのみにて光輝く」(14)、山下敦弘監督作「オーバー・フェンス」(16)が映画化され、すべて佐藤さんの故郷である北海道・函館で撮影が行われてきた。函館の市民映画館シネマアイリス開館20周年を記念して製作される今作は、過去3作を手がけてきた同館代表・菅原和博氏が企画・製作・プロデュースを務め、オール函館ロケが敢行される。

 芥川賞候補に何度も名を連ねた佐藤さんだが、1982年に発表した同名原作で初めての同賞候補になる。郊外の書店で働く「僕」と、一緒に暮らす失業中の静雄、そして2人の男に愛された佐知子が主人公。3人の悲しく、痛みに満ちたひと夏を描く青春物語だ。

 札幌出身の三宅監督は、「『きみの鳥はうたえる』を発表した佐藤泰志の当時の年齢と、たまたま今の自分がほぼ同じ年です。ほかにも東京で住んでいた場所などが重なることがいくつかあり、もし同じ時代にいたら出会っていたかもしれない同級生と、密に会話するような気分で繰り返し読み、準備しているところです」と語り、余念がない。原作にある「すると、僕は率直な気持ちのいい、空気のような男になれそうな気がした」という一節に惹かれるといい、「そんなふうに、率直な気持ちのいい映画をつくりたい。そのために、なるべくリラックスして、のびのびと、地に足をつけて、函館の風や匂い、あの光や時間を全身で感じたいと思っています」と意欲をみなぎらせている。

 クランクインは、初夏を予定。2018年に全国で公開。