米国の損失危機に気付かなかった東芝は、脆弱なガバナンスが再びあらわになった。Photo by Reiji Murai

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不正会計問題で一斉退陣した旧経営陣に代わり、新生東芝として船出したはずの綱川智社長ら新経営陣。原発のずさんな危機管理が露呈し、再び脆弱なガバナンスを曝け出した。

「これで債務超過を回避します」。1月27日午前に開かれた東芝取締役会で、半導体事業の分社化が粛々と決議されたが、その直後の対策会議で東芝の社外取締役は、経営陣の説明に声を荒らげた。

「そもそも、危機を招いた原発をどうするつもりなのか!」。詰め寄る社外取締役に、うつむくばかりの経営陣。社外取締役たちの底なしの不安がついに爆発した。

 最大で7000億円に膨らむ損失──。米国で建設する原発4基の「コスト超過」が一気に表面化した。東芝の米原子力子会社のウエスチングハウス(WH)が2015年12月31日に、米建設エンジニアリング大手CB&Iから建設子会社のCB&Iストーン&ウェブスター(S&W)を買収したのが引き金だ。

 WHが巨額損失のリスクに気付いたのは、昨年10月初旬で、S&Wの工事を引き継いだ下請けの米フルアー社から、原発4基の工事費用が大幅に増えるとの通知がWHに届いたためだった。

 慌てたWH側は、見積もりの分析に入ったが、この時点で東芝本社の役員には何も知らされていない。遠い米国で発生した巨額損失の火種を東京の綱川智社長が初めて認識したのは、何と2カ月以上もたった12月中旬。エネルギー部門トップのダニー・ロデリック氏からの報告に言葉を失ったが、その後に報告を受けた社外取締役も絶句した。

 15年7月の不正会計問題発覚で旧経営陣が一斉退陣し、同年9月に発足した東芝の新経営陣。綱川社長、志賀重範会長を大物財界人ら社外取締役が監督する新ガバナンス体制は、全く機能していないことが露呈し、再建に向かった矢先につまずいた。

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