最近では日本でも女性の社会進出が進んできているが、中国では以前から結婚や出産にかかわらず女性が働くことが一般的とされてきた。西南科技大学の蒙秋霞さんは、「専業主婦にあこがれる」日本人女性が理解できないようだ。

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最近では日本でも女性の社会進出が進んできているが、中国では以前から結婚や出産にかかわらず女性が働くことが一般的とされてきた。自身も働く母親の姿をっ見ながら育ったという西南科技大学の蒙秋霞さんは、「専業主婦にあこがれる」日本人女性が理解できない心境を作文に次のようにつづっている。

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日本では多くの女性が専業主婦に憧れを持つという。厚生労働省による平成23年度の「若者の意識調査」によると、「結婚(事実婚含む)した後は専業主婦になりたいと思いますか」という質問に対して、「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」と答えた人は34%であった。確かに、会社勤めなどの場合、色々な人と付き合う上でストレスが溜まったり、就職活動の際に不採用が続き、心が折れそうになって、苦しみから抜け出せるならと専業主婦を目指しても不思議ではない。

私は先日、SNSで専業主婦の日本人女性と知り合ったのだが、彼女は次のように話した。「専業主婦は働かずに暮らしている、楽をしている人間と思われがちです。でも、私たち専業主婦は夫と子どもが会社や学校でいる間はもちろん、彼らが帰ってきてからも、仕事は続いています。言ってみれば、家事は残業だらけの仕事なんです」。なるほど。その大変さは否定できないだろう。また、彼女は触れなかったが、家事は無償労働でもある。どれだけ熱心に働いても金銭を得られない。無償労働であるということは、経済面においてリスクを伴う。例えば、離婚した際に、自らの取り分や貯蓄は十分なのかという問題がある。

厚生労働省の平成21年度の「離婚に関する統計」によると、実に結婚した夫婦のうち3組に1組は別れているのである。このような状況から考えて、やはり離婚する可能性については考慮しておかなければならないだろう。それゆえ、専業主婦になるということは、極めてリスキーな選択であろう。

その日本人女性は次のようにも話した。「ある中国人の知り合いはキャリアウーマンとして活躍していますけど、彼女の家庭は全く円満ではありません」。彼女は、職を持つことと家庭内不和を直接結び付けているようだったが、それには賛成できない。円満でないのは、「家庭を顧みなかった」からだ。この女性のような考え方、すなわち、女性が家庭から出て働くと家族関係が悪くなるという、ある種、強迫観念のような考え方は日本人特有のものではないだろうか。

しかし、時代の移り変わりに伴って、女性を取り巻く環境も変化してきている。一つ目は、価値観の変化である。昔は「良妻賢母」が理想とされた。妻は夫に尽くすと同時に子どもを正しく育てなければならない、という価値観である。私はここで男尊女卑である、などと述べたいのではない。男性も家庭を持つなら、「良夫賢父」でなければならないのと同様であるからだ。二つ目は、労働環境の変化だ。安倍政権がアベノミクスの成長戦略において、女性の活躍促進を掲げたことが象徴しているように、今後は日本経済の成長に女性は不可欠である。

さらに育児面に関して言えば、母親が長時間家にいることが、子どもの教育にとって必ずしもプラスに働くとは思われない。外で働いていない分、相対的に育児のことに目がいくと思われるが、過干渉になりはしないだろうか。例えば、私の母は私が小さい時から忙しく働いており、家にいないことも多かったが、愛情は存分に与えられたし、家の内外を問わず働き続ける姿から、私は女性の理想像のようなものも学んだ。

専業主婦になることはある女性たちにとって憧れであり、同時に家庭を円満にするように思えるのかもしれない。だが、3割以上もの日本人が「なりたい」と考えていることは、私にとってやはり不可思議なことなのである。(編集/北田)

※本文は、第十一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」(段躍中編、日本僑報社、2015年)より、蒙秋霞さん(西南科技大学)の作品「夢の専業主婦」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。