就任2週間が過ぎたトランプ大統領だが・・

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 2日、アメリカのトランプ大統領は、同国を代表するバイクメーカーであるハーレーダビッドソンの幹部との昼食会に臨み、ホワイトハウスに用意された同社のバイクを前に「ハーレーは米国の象徴だ」と讃えた。「お乗りになりますか、大統領閣下?」との言葉に、「私が転がるところを見たいのかね」と軽口を叩く一幕もあった。

 さて。ここだけ切り取れば牧歌的で結構な話なのだが、実際にはこの話には裏事情がある。そもそも何故、わざわざホワイトハウスにハーレーダビッドソンを運んでくることになったのか。実はこの日、本来予定されていたのは、ウィスコンシン州ミルウォーキーにある同社の本拠工場に対する大統領の視察、であった。

 ところが、工場従業員からこの情報が事前にリークされ、工場前でトランプ大統領の「イスラム諸国関係者のアメリカ入国禁止」命令に対する抗議デモが行われる計画が持ち上がった。そのため視察は中止され、代わりにホワイトハウスで昼食会という運びになったのである。

 トランプ大統領が就任してまだようやく2週間が過ぎたばかりであるが、支持率は低迷している。具体的な数値は調査機関によって様々ではあるが、あるメディアによれば「就任から支持率50%を割るまでに擁した期間、歴代大統領最短の8日」という不名誉な記録が樹立されたという。

 一方、諸外国首脳はトランプ大統領をどう見ているか。日本、ロシア、英国は好意的なのだが、これはむしろ例外的だというべきかもしれない。まず、イラン。イランとアメリカは相互に制裁を発動し合う事態となっている。オバマ前大統領が苦労の末に築き上げた同国との間のわずかな架け橋は、もはや完全に破壊されたと見てもよさそうだ。

 かといって、キリスト教圏では広く評価されているのかといえば、それもない。3日にマルタで開かれたEU諸国の非公式首脳会議では、トランプ大統領への批判が相次いだ。「(トランプ大統領の最近の発言は)受け入れられない圧力だ」(フランス・オランド大統領)、「私たちはアメリカに対し沈黙を続けることはできない」(マルタ・ムスカット首相)といった調子である。

 トランプ大統領を取り巻く状況は、国内・国際ともに厳しい。英国のブックメーカーは、「トランプ大統領が失脚するまでの期間は何年か」という賭けを始めたそうである。これは冗談ごとではなく、アメリカ国内で既に、合衆国憲法に定められた手続きに基づく、大統領の弾劾に乗り出そうとする動きがある。もし仮にこれが可決した場合、アメリカ合衆国大統領の弾劾による罷免は、史上初めてのこととなる。

 最後に、日本とトランプ政権について述べよう。3日、トランプ政権の閣僚としては初めて日本を訪れたマティス国防長官が安倍首相と会談、日米の緊密な安全保障上の協力関係について再確認した。

 選挙戦の最中、トランプ氏は「日米安保を見直し、在日米軍引き上げも辞さない」という旨の発言を行い、日本でこれが大きく取り上げられた。しかし、どうやら、そのような事態は回避されたと見てよさそうだ。

 また、先立つ1月28日に行われた電話会談において、トランプ大統領は安倍首相に「(娘の)イヴァンカも君を気に入っている」と告げたという。この発言は異例のものであり、「君とは家族同然の交流をしたい」というニュアンスを含む、極めて強い友好のアピールである。

 就任前、世界各国首脳の中でもっとも早くトランプ氏と非公式会見に及び、また現在なお積極的なトランプ支持の姿勢を崩さない安倍首相は、国際的に孤立しつつあるトランプ大統領にとって、もはや「必要不可欠のカード」となっている、とある識者は分析する。

 これは日本の対米外交にとって大きなアドバンテージといえる。2月10日には日米首脳会談が予定されている(さらに、会談後は二人でゴルフをするという)のだが、安倍首相がこの機会を十分に活かし、日本に国益をもたらすことを期待したい。