クリスティアーノは精度の高いFKなどでチャンスを演出したが、この日のブラジル人トリオは不発に。写真:鈴木 潤

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 鹿児島・指宿でキャンプ中の柏レイソルは、2月4日に清水エスパルスと練習試合を行なった。この試合で、柏はクリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラ、ハモン・ロペスのブラジル人トリオを同時起用したものの、期待の大きさに反して不発に終わった。試合後、下平隆宏監督は「50点の出来。でも初めて組んだので想定内」と納得した表情を見せた。
 
 不発に終わったとはいえ、彼ら3人によって生み出される破壊力の片鱗は見えた。17分には輪湖直樹のクサビのパスを受けたD・オリヴェイラが鮮やかなターンからシュートを放つも、六反勇治のファインセーブが飛び出し、その1分後にも中山雄太のスルーパスに抜け出したR・ロペスがGKと1対1になる決定機を迎えたが、これも六反に阻まれた。さらに25分、クリスティアーノのFKから中山が放ったヘッドがバーを直撃。GKの好守やアンラッキーで得点には至らなかったが、序盤に攻め立てチャンスを作り出したのは柏である。
 
 しかし柏にとってはキャンプ最後の試合で、疲労も相当蓄積されている。時間の経過とともに動きが顕著に鈍り、特にR・ロペスは肉体的疲労に加え、新チームの戦術面を吸収しなければならないタスクもあるため「頭も疲労している」(下平監督)という状態。チーム全体を見てもビルドアップが詰まる傾向にあり、途中からは前線の個の力に委ねるだけの単調な攻撃に形に陥った。それによって清水にとっては的が絞りやすくなっていたため、今後は柏がチームとして目指す攻撃の形の中に、いかにしてブラジル人トリオの個性を組み込んでいくかが求められるだろう。
 
 また、今回のキャンプでは従来の4-3-3ではなく一貫して4-4-2を試しているが、D・オリヴェイラとR・ロペスの2トップを採用した場合は、攻撃よりも守備にこそ、大きな改善点があることが浮き彫りとなった。
 
 というのも、昨季は攻撃から守備に切り替わった瞬間、中川寛斗が第1ディフェンダーとして守備のスイッチを入れ、それに連動してチーム全体がプレッシャーをかけていった。しかし2トップに外国籍選手を並べるとそのスイッチが入らず、前から奪いにいけない守備の穴が破綻の糸口として突かれ、清水にボールを運ばれるシーンが相次いだ。
 
 今回のキャンプにおいて、柏は昨季のリーグワースト8位の失点数(44)を減らすことを念頭に、守備戦術の向上をメインに取り組んできた。その守備のスイッチが入らず、破綻の糸口を突かれたうえに、その守備を補うだけの攻撃も披露できないのであれば、現状でブラジル人トリオの同時起用は大きなリスクを抱えると言わざるをえない。
 
 一方で存在感を示したのが伊東純也だ。昨季は7得点・7アシストを挙げ、クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラとともに破壊力抜群の“トリデンテ”を組んだスピードスターは、ハモン・ロペスの加入と、今回の3者同時期用の煽りを受けて清水戦ではサブチームで出場した。
 
 サブチーム同士の対戦となった3、4本目のゲームにおいて、柏が作り出したチャンスといえば、ほとんどが右サイドで伊東が絡んだものである。116分(3本目の36分)には、中川の背後へのパスに抜け出し、この日唯一の得点も記録。今季の目標に「昨年以上の数字、10得点・10アシスト」を掲げる伊東は、この清水戦の出来について「得点は最低限の結果。もっとできる」と自らに言い聞かせるように話していた。
 
 試合全体を見ると、3失点はいずれもサイドからのクロスによるもので、守備の立て直しをメインに取り組んだキャンプで「クロス対応は良くなっていただけに失点が残念」と、下平監督は不発に終わった攻撃よりも課題が修正しきれていない守備面の方を問題視した。
 
 R・ロペスがフィットするまでに時間を要するのは間違いないが、清水戦で露呈した攻撃の問題点は伊東を戻せば解消される部分は大いにある。それに対し、今回の清水戦での3失点に加え、2月1日に行なわれた鹿屋体育大との練習試合でも4失点(●2-4)した守備面には、依然として不安がつきまとう結果となった。
 
取材・文:鈴木 潤(フリージャーナリスト)