日本競泳界で注目が高まる渡辺一平(早大)【写真:早稲田スポーツ新聞会】

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驚異の記録をマークした19歳、渡辺一平を成長へと導いた「環境」とは

 日本競泳界に、渡辺一平(早大)という新たな注目株が台頭した。かつて北島康介氏が五輪2大会連続金メダルを獲得した男子200メートル平泳ぎで、初めて2分7秒の壁を打ち破った。昨年のリオデジャネイロ五輪でも6位に入った19歳の急成長には、同大会で絶対王者マイケル・フェルプスを追い詰めた坂井聖人(早大)らとの常日頃の競争が土台にあったという。早大で各競技を取材する「早稲田スポーツ新聞会」の担当記者が、渡辺の成長の要因を記した。

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 2分6秒67――。日本の若きスイマーが世界を驚かせた。

 1月29日に開催された東京都選手権。渡辺一平が日本のお家芸である平泳ぎでついに世界初の「6秒台」に到達した。

 世界記録保持者となった渡辺の躍進は、昨年の4月から始まっていた。高校時代からユースオリンピックの男子200メートル平泳ぎで優勝するなどその潜在能力は高く評価されていたが、リオデジャネイロ五輪選考会となった昨年の日本選手権で自己ベストを大きく更新。オリンピック本番でも準決勝で五輪新記録となる2分7秒22をマークし、ここでも一気に自己ベストを1秒61も縮めた。この目覚ましい成長の要因は果たしてどこからくるのか。

 以前、渡辺にインタビューした際に本人が挙げていたのは、常日頃から高いレベルの選手たちと競える環境にあることだ。現在、渡辺は早稲田大学の2年生。同大学の水泳部には五輪に出場した選手たちが多く在籍している。

渡辺の成長の裏に「大きな存在」

「早稲田には坂井聖人さんや瀬戸大也さん、渡部香生子といった日本代表レベルの選手がいます。そういったレベルの選手と一緒に練習できることは僕にとってすごく大きいです」

 特に大きな存在として挙げたのは坂井聖人である。坂井はリオ五輪男子200メートルバタフライで金メダルのマイケル・フェルプス(米国)とわずか0.04秒差の2位で銀メダルを獲得したことで一躍有名になったが、2人はリオデジャネイロオリンピック前にメキシコで共に事前合宿を行なって、今もお互いに切磋琢磨し合う関係だという。

「メキシコでは僕と聖人さんの2人きりで、周りの選手に気を取られずに集中して練習できました。練習中くじけそうになった時は2人で言い合ったり、練習で聖人さんが速かったら、僕は気持ちを入れ直したりして。聖人さんはすごく練習が強いので、ムカつくことが多いですけどね(笑)。練習中、1回も勝たせてもらえないくらいですからね」

 そう渡辺は笑ったが、冗談を言い合える関係からもその関係の良好さがうかがえる。

新星スイマーにはお茶目な一面も

 今年のスローガンを「常勝」と掲げている渡辺。大学に入学した当初に比べ、インタビューの受け答えから頼もしさを感じるようになった。

「常にどのレースに出場するにあたっても、すべて勝つ気でレースに臨みたいです。そう思えるような練習をして、『絶対勝ってやる』という思いを持ちたいですね。オリンピックで負けてすごく悔しかったので、もう負けたくない。ハンガリーで行われる世界選手権も『常勝』の一環として優勝を目標に頑張っていきたいと思います」

 193センチという長身で良かったことを問われると、「電球を換える時ですね。目立ちたがりなのでオイシイです(笑)」と答えるなど、渡辺はお茶目な一面も垣間見せる。

「東京オリンピックでは世界新記録で優勝してプロポーズしたいです」

 3年後に向け、伸びしろ十分な19歳は雄大な青写真を描いている。

大森葵(早稲田スポーツ新聞会)●文