問題解決に二億円VS200万円、どっちを選ぶ?

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お金と時間を使って「特許出願」という手段を選ぶ前に…もう一度見直してみたい本来の目的。目からウロコのわかりやすい教訓をご紹介します。

エレベーター待ちのイライラ苦情

あるオフィスビルに3基のエレベータがついていました。そのビルは20階建てなので、上層階に上がろうとするほとんどの人がエレベータを使います。出退勤時や昼休みなど、エレベータ待ちの行列ができてしまいます。
あるとき、テナントからビルの管理マネジャーに苦情が寄せられました。それは「エレベータになかなか乗れないので、社員がイライラしてしまう。なんとかしてほしい」というものでした。

A案は出費「二億円」

管理マネジャーはこの苦情の対処についてコンサルタントAに相談しました。
コンサルタントAは、エレベータの利用時間帯、利用客の構成、エレベータの運転状況、オフィスビルのオーナーの財務状況、ビルの構造や使えるスペースがあるかないかなど、ありとあらゆることを1カ月かけて検討しました。
その結果、コンサルタントAが出した提案は、予算2億円でエレベータを1基増設するというものでした。

B案は意外な目的を発見

管理マネジャーはコンサルタントBにも相談しました。コンサルタントBが行ったことは、丸1日、エレベータを待っている利用者の様子をじっと観察することでした。
そして出した回答は「利用者がエレベータを待っているスペースに大きな鏡を置く」というものでした。
というのも、テナントの社員はじめエレベータの利用客がイライラするのは、エレベータになかなか乗れないからではなく、待っている間に何もすることがないからだと気づいたからです。

知恵は資金流出を防ぐ

エレベータの横に鏡を置けば、待っている間、そこに映る自分の姿を見たり、身だしなみを直したりして時間をつぶせます。それにより、イライラも解消できるとしたのです。
大きな鏡の設置費用は200万円。
コンサルタントA、コンサルタントB、どちらの提案を管理マネジャーが受け入れたか、考えるまでもありませんね。そして200万円で、この問題はスッキリ解決したのです。

目的をきちんと知ろう

さあ、この事例から、考えてみましょう。
テナント側が苦情を出した「目的」はなんでしょう? 一刻も早く上の階に行くことでしょうか? それも多少はあったかもしれませんが、「社員のイライラを解消したい」が第一でした。
「待っている間、イライラせずになるべく快適に時間を過ごしたい」、この目的を取り違えると、そこに到達するための道具がまるっきり違ったものになってしまうことがおわかりいただけたと思います。

思いこみは危険な落とし穴

コンサルタントAの道具は2億円のエレベータ、コンサルタントBの道具は200万円の鏡でした。
私たちは何か物事に対処するとき、その中身をしっかり吟味せず、ひとりよがりな発想や思い込みで、解決しようとしがちです。
自分が目的としているものを正しくとらえておかなければ、適切な道具など手に入れようがありません。この事例はそれを私たちに教えてくれているのです。

 

【まとめ】

・エレベーター待ちでイライラするのは「やることがない」と気づく知恵。
・目的をきちんと知ることで、より賢く問題解決できる。
・思いこみで手段を選びがちですが、本来の目的を忘れないことが大切なのですね。

★ 参考図書『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?』
著者:新井信昭(あらい・のぶあき)