長崎県・対馬の寺から盗まれた仏像を韓国の寺に引き渡すよう命じた判決と、「帝国の慰安婦」の著者の名誉棄損事件で言い渡された無罪判決。日本が絡む二つの判決に韓国紙の反応はさまざまだ。

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2017年2月4日、韓国の裁判所が日本に絡んで1月末に下した二つの判決に韓国紙がさまざまに反応している。長崎県・対馬の寺から盗まれた仏像を韓国の寺に引き渡すよう命じた大田地裁判決は「国際的な信用を失った」などと疑問視。「帝国の慰安婦」の著者の名誉棄損事件で、ソウル東部地裁が言い渡した無罪判決には冷淡だ。

盗難仏像について、朝鮮日報は「略奪文化財認定、韓国は国際的な信用を失った」との記事で専門家の見方を紹介。「略奪文化財でも法に従い返還すべき」と指摘した。

記事は同紙が独自に入手した韓国・文化財庁の調査報告書を引用。「仏像の製作時期は1330年(高麗第27代・忠粛王17年)、製作地は(今回引き渡しを求めた)浮石寺だ」としながらも、「日本に渡った経緯については『倭寇に略奪された可能性が高いが、直接これを立証する資料は見つかっていない』と書かれている」などと詳報し、「略奪を断定するのは難しいということだ」と判決に疑問を投げ掛けた。

東亜日報は「盗まれた仏像、盗んだ仏像」との記事を掲載。「盗んだ国においても、盗まれた国においても、略奪文化財の返還は敏感な問題だ」と前置きし、「500年前に略奪したという理由で、21世紀の明白な盗品を返さなければ、国際社会が私たちをどのような目で見るのか気になる。このようなやり方が認められれば、世界の博物館は修羅場になるかもしれない。時間がかかっても、文化財還収は国際規範に従うのが正しい」と強調した。

一方、著書「帝国の慰安婦」で元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉棄損の罪で在宅起訴され、懲役3年を求刑された世宗大学の朴裕河教授に言い渡された無罪判決について、各紙は判決に反発する元慰安婦らの声を大きく取り上げている。

この裁判では韓国の民主主義の「成熟度」が問われ、判決は「学問の自由」に軍配を上げたが、ハンギョレ新聞は判決内容を伝えると同時に、「傍聴席のハルモニ(おばあさん)ら激しく反発」と報じた。支援者団体の「今回の判決は公正でないだけでなく、日本帝国主義の戦争犯罪者、加害者らに免罪符を与える反歴史的、反人権的な判決」と厳しく批判する意見にも触れている。

聯合ニュースも「被害者ら激怒」と報道。「裁判を傍聴していた元慰安婦は無罪が宣告されると立ち上がり、裁判官に対して『法はないのか』『有罪なのに、これはいけない』などと声を上げて抗議した。朴教授に対しては『(日本の肩を持つ)親日派』と罵倒した」などと伝えた。

韓国では次期大統領選の有力候補がこぞって15年末の慰安婦に関する日韓合意の見直しに言及している。「国内で近来あまり見られない理性的な判決」と評価したメディアは、ごく一部。日韓合意について「朴槿恵大統領の失政」との声が高まる国内の雰囲気が各紙の報道ぶりにも反映しているようだ。(編集/日向)