全てを知りながらも、人間味を感じさせる圧巻の演技
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 ベネディクト・カンバーバッチ主演のマーベルスタジオ最新作『ドクター・ストレンジ』(全国公開中)で、主人公ストレンジの魔術の師匠エンシェント・ワンを演じたオスカー女優、ティルダ・スウィントンが、本作に込めたメッセージを語った。

 エンシェント・ワンは、永遠に近い時を生きる神秘の力の守護者。原作ではチベットに生きる老いた男性だが、映画ではこの役にティルダを起用。ネパールの秘境に秘密の施設をかまえる女性指導者として、ごう慢で上から目線なストレンジの内に特別なものを見出し、後継者として育てることを決心する。

 “不老不死”に近い存在を演じたティルダだが、本人は「むしろ、決して彼女は不死なわけではない……と意識して演じていました」と証言。徳の高い僧のような雰囲気を漂わせるエンシェント・ワンという存在を、人種に関係なく、アメリカ人など欧米の観客にも受け入れてもらえるように、「命ある存在、人間的な姿勢をもった人物になるように意識していましたね」と語る。

 芸術品のような美しさに、アカデミー賞助演女優賞に輝く確かな演技力。崇高な存在を演じるうえでこれ以上ないほどの存在感を発揮するティルダだが、素顔は普通のお母さん。ストレンジのように、自分に奇妙な能力があるか尋ねると、「あるわよ! 家の中で家族が何か失くしても、絶対に見つけられる能力がね。息子が靴を、娘がカメラを、パートナーがカギを失くしたりしたら、みんなわたしのところに来て見つけてもらえるのを待つくらいなんです!」と無邪気に笑う。

 スピーディーなアクションも本作の見どころのひとつ。ティルダも、ビルがねじれる不可思議な空間の中で、扇を使った舞のような格闘を披露するが、本人は「個人的に、この手の映画のアクションシーンって、何が起こっているのかわからなくなることが多いんです。誰が誰のパンチをどうやってよけたのか……といったことが」と意外な発言。しかし、「でも、この映画はついていけるんです」と続けると、「この映画ではストレンジを観客の分身として描き、一緒に世界観を学び、受け入れられるようにしています。まるで、赤ん坊にスプーンで食事を与えていくようにね。アクションも同様です。スコット・デリクソン監督の手腕によるものが大きい。本当に稀有な才能だと思います」と絶賛した。

 ちなみに、そのデリクソン監督いわく、主演のカンバーバッチの奇妙な能力はモノマネの才能。「5分もすごせば完璧にその人のマネができる。ちょっと怖いくらいだよ」という監督の言葉を知ったティルダは「もしかしたら、私たちが知っている彼って、ベネディクトのマネをしてるほかの誰かかも!」と最後まで茶目っ気たっぷりに笑った。(編集部・入倉功一)