大豆は雑草と「安保同盟」を結んでいる?

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害虫に食べられても逃げることができない植物は、互いに「敵が来た! 守りを固めろ!」と通信物質を放出し警戒態勢を強めることが知られている。

京都大学生態学研究センターの高林純示教授らのチームが、雑草の草刈りの匂いをかいだだけで、周辺の作物が防衛力を高め被害を減らしていることを明らかにした。驚くべき植物パワーの研究は英科学誌「サイエンス・リポーツ」(電子版)の2017年1月30日号に発表された。

草刈りの匂いをかぐと作物の「防衛力」アップ

京都大学の発表資料によると、高林純示教授は2014年4月にも山口大学との共同研究で、害虫(ガの幼虫)に葉を食べられた植物(トマト)が特定の香りを放出し、周りの植物がその香り成分をガの幼虫の成長を妨げる化合物に変えて、害虫から身を守っていることを明らかにしている。植物は一方的に動物に食べられるわけではなく、植物同士のコミュニケーションで生き残りを図っているわけだ。

今回は、農作業の1つで草刈りをすると、その周辺の作物になぜか害虫に食べられる被害が少なくなることに注目、植物同士のコミュニケーションの仕組みを調べた。草刈りで傷ついた雑草が、周辺の植物に「警戒信号」の物質を放出しているのではと考えたのだ。

そこで、研究チームは16年6月に大豆畑の中に、セイタカアワダチソウ(雑草)を裁断した束をネットに入れて放置、ダイズの生育初期の2〜5週間、「草刈りの匂い」に触れさせた。すると、9月の大豆成長期の時点で、「草刈りの匂い」に触れた大豆は、触れなかった大豆に比べ、害虫による葉の被害が少ないことがわかった。

また、10月の収穫期、害虫による大豆種子の被害も減った。つまり、短期間の「草刈りの匂い」が大豆株の生育と繁殖に好影響を与えたわけだ。さらに、収穫した大豆豆の中のイソフラボン(栄養成分)の量も増加していた。これらの成分の増加は、植物間コミュニケーションが同世代だけでなく、「親から子への影響」を示しているという。

高林教授らは発表資料の中で、「植物間コミュニケーションが世代を超えて影響を与えていることを世界で初めて立証しました。害虫の被害を少なくする新しい方法に応用できる可能性があります」とコメントしている。