米学校での発砲事件、「失業率」との間に強い相関関係

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乱射事件に限らず、毎年数多く発生している学校での銃発砲事件についての大きな疑問は、その”根本的な原因”は何かということだ。銃が入手しやすいことが原因だという声もあれば、精神疾患や社会的孤立、社会との断絶だと指摘する声もある。

だがノースウェスタン大学の研究チームは、詳細なデータ分析を基に異なる見方を示している。科学誌ネイチャーに発表した新たな研究報告の中で彼らは、原因は失業である可能性があると示唆している。問題は全国の平均失業率ではなく、地元レベルの失業率。失業率の悪化と発砲事件の数には強い相関関係が見られるという。

研究者たちは複数のデータベースを基に、以下の要件を満たす学校での発砲事件に関するデータベースを作成した。

・意図的であれ偶発的であれ、火器の発射があった
・小学校、中学校、中等後教育機関の区別にかかわらず、学校のキャンパスで発砲があった
・加害者、傍観者、および/あるいは犠牲者の中に学校の生徒または従業員が含まれる

これらの条件を満たした発砲事象は379件。その多くにおいて、発砲者は特定の人物をターゲットとしていた。3人以上が死亡した事件は全体の6.3%で、ギャング関係の事件は6.6%だった。言い換えれば、学校での発砲事件の大部分はより小規模で、組織犯罪の一部ではないということだ。

研究者たちは銃の供給状況について検証したが、学校での発砲事件との関係を示すのに「必要な類の証拠」は見つからなかったと、同大学の社会学・法学の教授であるジョン・ヘーガンは言う。

代わりに発見したのが、発砲事件と失業の強い相関関係だった。失業率が上昇(悪化)すると発砲事件の件数も増加し、失業率が下落(改善)すれば発砲事件の件数も減少した。このパターンは国、地域、そして都市(ニューヨーク、デトロイト、シカゴ、メンフィス、ロサンゼルスとヒューストン)レベルで一貫していた。この失業率とはU3に分類される公式な失業率(労働力人口に占める失業者の割合)を指す。

「若者たちは両親や兄弟姉妹、近所や学校の先輩たちなどを見て(失業の影響を)感じる」とヘーガンは言う。「私が最も説得力があると感じた部分は、大学レベルの教育や経済的不安とのつながりだ。経済的に成功するには、高校教育だけではなく大学教育を受けることも重要になってきていることは明らかだ。それがデータや傾向として示されたことに説得力があった」

研究によって示されたのは相関関係であり、必ずしも因果関係ではない。因果関係を証明するには実験が必要だが、倫理的にそれを行うことは不可能だ。だが相関関係のレベルであっても、この結果は衝撃的であり、失業とそれが多くの人にもたらす経済格差や経済不安が社会に、文字どおり生死にかかわる影響を及ぼしかねないことを示唆している。