バイオテロの脅威はすぐそこに。

最新の遺伝子編集技術「CRISPR」やその他の新たなバイオテクノロジーの発展のおかげで、これまで最先端の設備を持つ研究所でしか行なえなかったことがより手軽にできるようになっています。これはこれで素晴らしいことなのですが、その一方で、そのテクノロジーが悪用される危険性も増しているのです。

2017年1月17〜20日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(The World Economic Forum)においてビル・ゲイツは、国際社会はバイオテロの脅威をもっと深刻に捉えるべきだと警告し、各政府と民間組織はバイオテロに備え、より多額の投資をするべきだと述べています。

ゲイツはそのパネルトークで「今後起こりうる脅威に対してどのような準備をするべきなのか議論する必要がある。バイオテロが今後起こる可能性を予測するのは難しいが、その被害はとてつもなく大きなものになる」と語りました。

ゲイツは、自身が会長を務める慈善基金団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、ドイツ、日本、ノルウェーの各政府と協力して感染症の集団発生に対する対策と新しいワクチンの開発を行なう機関Coalition for Epidemic Preparedness Innovations(CEPI)を発足するという発表の直後に、この警告を行ないました。これまでにもビル&メリンダ・ゲイツ財団はマラリアのような感染症撲滅を目的とした研究に多額の投資をしています。

バイオテロの脅威を訴えているのはゲイツだけではありません。2016年11月の大統領科学技術諮問委員会(United States President's Council of Advisors on Science and Technology)は、CRISPRといった先進技術の発展を受けて、バイオテロ防衛戦略の見直しをオバマ元大統領に勧める報告をしています。

その報告には「分子生物学者、微生物学者、ウイルス学者たちは、今後数年のうちにバイオテロの脅威はより一層深刻化すると予測している。この急速に発展している分野に対応するため、アメリカ合衆国政府のバイオテロに対する過去の考えや組織を変える必要がある」と書かれています。

さらに2016年、アメリカ国家安全保障当局は核兵器や化学兵器、巡航ミサイルと並べて遺伝子操作を大量破壊兵器と認定しています。

CRISPRのような技術は悪用されると、国家の食糧供給の破滅を導いたり、人の生態へ影響を与えたり、効率的に拡散するようウイルスの病原性を高められたりする可能性があります(ジェニファー・ロペスがプロデューサーを務めるバイオテロSFスリラードラマ『C.R.I.S.P.R.』ではまさにそれが描かれています)。

悲惨な事件が起きないためにも、世界各国の政府関係者たちにはこの警告を深刻に受け止めてもらい、その対策をお願いしたいですね。

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image: JStone / Shutterstock, Inc.
source: CNBC, Bill & Melinda Gates Foundation, Gizmodo AU, MIT Technology Review, Motherboard

Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文]
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