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梶原由景の「間違いだらけのアプリde飲食店選び」



食にも精通するクリエイティブディレクター梶原由景が、足で見つけた”間違いない名店”を毎月紹介する。

 

今月の間違いない名店



シェパニーズ

サンフランシスコ(カリフォルニア料理)

所在地: 1517 Shattuck Ave, Berkeley, CA 94709

電話: +1 510-548-5525

営業時間:<月〜木>11時30分〜15時00分, 17時00分〜22時15分 <金、土>11時30分〜15時00分, 17時00分〜23時15分

定休日:日曜日



サンフランシスコのベイエリアにある、歴史を感じさせる建造物・フェリービルディング。ここにはオーガニックフードをはじめ、アメリカの食をリードしているこの都市を象徴するかのようなフードマーケットがある。



ここにはパンのアクメブレッド、日本でもお馴染みのブルーボトルコーヒー、素朴なスタイルの陶器が人気のヒースセラミックのショップなどがある。ちょっとしたサンフランシスコ物産館といった趣すらあり、ここに来ればサンフランシスコの食を一通り楽しめてしまえそう。朝、パンを片手にコーヒーを買い、フェリーが停泊する港のベンチに腰掛け、軽めの朝食というのも良い。ただし、カモメにパンくずのお裾分けはお控えを。

最近話題のエリア、ミッション地区にはタルティーヌベーカリーがある。日本へ進出する話もあったが、ブルーボトルに買収され立ち消えとなったことは記憶に新しい。最近、ヒースセラミックが新ファクトリーに併設する大型店舗もオープンさせたから、週末の大行列を少しでも回避したいならそちらを利用すると良いかも。クロワッサンが極上だが、焼き菓子も素晴らしい。いつもお土産に買い求めている。

サンセット地区のビーチから歩いて来られる距離にあるアウターランズでは、昼食やブランチにサンドウィッチを求める客が絶えない。数々のカフェがここを参考にしたんじゃないかと思えるナチュラルなインテリアデザイン。初めて訪れてから数年が経ったが、今も新鮮さを失わない。一時期は席が空くのを待つ人たちがあまりに多く、近くのコーヒーショップが繁盛したほどだ。



このように、サンフランシスコは「美味しい街」だ。しかしこの街が世界中からこれほど耳目を集めることとなったのは、アリス・ウォーターズという人物の存在によるところが大きい。彼女のレストラン「シェパニーズ」は地元産のオーガニック食材だけを使う。カリフォルニア・キュイジーヌという言葉を生んだ、スローフードの象徴のような店。予約は1カ月前から受け付けるが、当然熾烈な争奪戦となる。世界で最も予約困難な店のひとつだろう。



1階のレストランは日替わりのコースのみ提供。2階には予約なしでアラカルトを楽しむことができるカフェ。今回、サンフランシスコ出張に合わせてこの店の予約を試みた。幸いにして席を得ることができたが、後日英語でリコンファームの電話が掛かってくるなど、その難度は高かった(笑)。



この日のコースはカボチャのフライや地元野菜のサラダ、メインは牛スネ肉の煮込み。パンは前出のアクメブレッド。アクメの創業者はそもそもこのシェパニーズでパンを焼く職人だったのだ。二つに割って食べるバゲットの美味しいことといったら。引き立て役に回っているが、料理に負けているわけではない。



ただひたすら正しいことのみを行い、結果として美味しい料理ができる。こんな真っ当で幸せなサイクルが、この世の中にはあるんだと実感する。スタッフのホスピタリティも高く、記念に店内を撮影しているとキッチンへ案内することすら厭わない。

この上ない満足感を得られるディナーでありながら、驚くほどリーズナブル。これは予約が殺到するわけだ。とはいえ、ただ予約困難な店を体験するという捉え方では寂しい。なにしろここで得られるのは正しい食体験なのだから。カリフォルニア・キュイジーヌというムーブメントの震源地が正しい店であって良かったと思う。

文/梶原由景

 

幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE

代表。Webマガジン『honeyee.com』、デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。

 

※『デジモノステーション』2017年2月号より抜粋

 

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