東邦大学医療センターの臨床生理機能学研究グループのまとめによると、心臓病で亡くなる人は1月が最も多く、次いで2月、12月、3月の順となっている。その中でも最も恐ろしいのが、年間で5万人以上が犠牲になるという心臓突然死。突然死には様々な原因があるが、冬場に最も発症する可能性が高いとされている。
 心臓病を研究する専門家の1人は、こう説明する。
 「“冬の突然死”は、人によっては“がん”よりも怖い。特にこの時期は“温度差リスク”に注意しなくてはいけません。ジェットコースターのような気温の乱高下が、血圧に大きな変動を引き起こすからです」

 突然死に至る際、心臓はただ震えているだけで、本来のポンプとしての作用を失う「心室細動」と呼ばれる不整脈に陥っている。「がんよりも怖い」と言われるのは、手当てをする時間的な余裕もなく、そのまま死んでしまうからだ。
 「心肺停止から1分以内であれば90%以上の確率で蘇生できますが、5分を過ぎると生存率は50%以下にまで急落します。119番通報して救急隊員が到着するまでに8分ほどかかることを考えれば、普段から病院や消防署などが開催する講習会に参加して、人工呼吸や心臓マッサージなどの蘇生術を学んでおくことが大切です」

 こう語るのは、都内で総合医療クリニックを営む医学博士の久富茂樹院長だ。
 「倒れた患者さんの生き残りの絶対条件は、少しでも早く病院に到着すること。発症から完全な治療までの理想時間は30分ぐらいでしょう。それでも発症から2時間以内、遅くとも6時間以内にカテーテルで冠動脈を広げる治療をすれば、少なくとも死亡率を下げることは可能です」

 もう一つ、大切なことを認識して欲しい。
 心筋梗塞や狭心症の発作は、早朝(午前6時〜8時)と夜間(午後8時〜10時)に起きやすというデータがある点だ。
 「目覚めた直後は、交感神経が活発になる。つまり、交感神経が優位になることで、血管が収縮して血液が流れにくくなり、血圧が急上昇するのです。また、就寝中は体内の水分が失われるため、この時の血液は粘り気があって固まりやすい状態にある。さらに、普段から高血圧や抗凝固剤などの薬を飲んでいる人の場合、早朝は薬の効果が切れている時間帯であるケースが多い。これらの要素によって、心臓発作が起こりやすくなるのです」(医療ライター)

 一方の夜間は、心臓が多くの刺激を受ける時間帯と言える。仕事の疲労やストレスが溜まり、アルコールを飲んだり気温が急激に下がったりと、さまざまな変化による刺激によって心臓への負担が増えると考えられている。