溝口氏(右)、岩佐氏(左)

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Aging Styleとグッドデザイン賞のコラボレーションイベントが2016年11月9日、東京・池袋のコミュニティ・カレッジにて開催された。

今回5回目となるトークイベントのテーマは「食を考え・食を楽しむ─大人の豊かなライフスタイルをサポートする食のデザイン」。栄養療法専門クリニック「新宿溝口クリニック」院長の溝口徹氏と、クリエイティブディレクターで雑誌『自遊人』編集長の岩佐十良氏が講演した。

すぐに症状が出ないアレルギーもある

溝口氏はまず、「Man is what he eats=人は食べ物からできている」とし、「食事で未来の自分を変えることができる」と述べた。

新宿にある溝口氏のクリニックには、うつ病やパニック障害などの精神疾患から、アトピー性皮膚炎、婦人科系などの専門科にかかりながら、なかなかよくならないと悩む患者らが訪れる。

実際に栄養バランスを見直したり、アレルギーの有無を検査して食事を変えたりすることで、健康状態が改善されるという。

食物によるアレルギーというと、湿疹や発疹などが挙げられるが、食べてすぐ症状が出るものばかりではない。突然の腹痛に悩まされたり、ときどき精神が不安定になったりもするケースもある。不整脈や高血圧、呼吸器系疾患、筋肉のトラブルなど、体のさまざまな部分でアレルギーが関係していることも明らかになってきている。

近年、米国を中心に注目されているのが、小麦アレルギーだ。小麦の中のグルテンに反応してしまうため、グルテンを取らない食事をする人が増えている。アーティストのレディー・ガガや女優のミランダ・カー、テニス選手のノバク・ジョコビッチなどがグルテンを摂らない「グルテンフリー」な食べ方を実践した。日本では、ダイエット法としてブームが起こった。

さらに、アレルギー反応がある食品を減らすと、子どものADHDの症状が減ると示した研究報告もある。実際にクリニックに受診した9歳のADHD患者の例を示して、アレルギー除去食で治療を進めていると説明した。

3食きっちり食べても栄養失調になる

また、溝口氏は、今後重視したい問題として「新型栄養失調」を取り上げた。毎日3食きっちり食べていても、栄養失調に陥る場合があるというのだ。主にたんぱく質が不足し、貧血や脳出血、肺炎、骨折などが増える。

その対策として、秋田県大仙市で行われた食事指導の例が紹介された。大仙市は、長年、平均寿命が全国平均よりも大きく下回っていたが、食事指導を14年間続けたことにより、平均寿命がぐんと伸びたという。

その内容は、男性は1日60g、女性は1日50gのタンパク質を摂るように心がけること。具体的には、(1)肉(2)魚(3)卵(4)乳製品(5)大豆(6)海藻(7)イモ(8)果物(6)脂(10)緑黄色野菜の10項目の食品を1日1個は食べるようにする。食品は少量でもいい。例えば海藻なら、のり1枚でもOKになる。

米にも旬がある

岩佐氏は、自身がプロデュースする新潟県・大沢山温泉の宿「里山十帖」での取り組みなどを交えて紹介した。里山十帖は、健康、住まい、芸術、農業、環境、遊びなど、さまざまな体験できる人気の宿で、リピーターも多い。

メインテーマは「食」で、朝食には地元で取れた米に、山菜や野菜の煮物など食物繊維がたっぷりの副菜がいくつもならぶ。ディスカッションで、溝口氏も現代人は、食物繊維が不足していると指摘し、食物繊維をたっぷり摂るとお腹の調子がよくなるため、健康にも役立つとした。

岩佐氏いわく、おいしく食べるには食べ物の「旬」がいつかを知る必要がある。力を入れているのが「米」で、稲刈り体験などを通じておいしいお米がどうやってできているのか宿泊者などに伝えている。近年は、消費者が一日も早く新米を食べたいと望むこともあってか、収穫時期が早まり、それによって米の味が落ちているのではないかと指摘した。

ディスカッションでは、白米と玄米の差について、溝口氏は、「玄米は、白米よりも食物繊維が多く良い面もあるが、鉄分や亜鉛の吸収率が下がるため、鉄や亜鉛が不足しがちな女性の場合、少しくらいは精製したほうがいいかもしれない」とコメントした。

岩佐氏は、「自分でもバランスのとれた食べ方は重要だと感じている」とし、食をデザインするということは、健康になるとか、病気を治すなどの自分がイメージする目的に向かって、どう変えていくかのプロセスだと話した。

医師・専門家が監修「Aging Style」