「妻の“キャリア温存”」のため、家事代行にいくら払えるか

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■両立が至難となる「1〜3歳」を乗り切る

キッチン・風呂・トイレ掃除や洗濯、食事の支度など日常の家事をスタッフが代わりにしてくれる家事代行サービスが人気です。大手から中小まで家事代行会社はたくさんあり、料金やメニューもマチマチ。なかには妊娠・育児中の買い物や掃除などを支援するパッケージサービスがあるところも。

料金は一般に1時間3000〜5000円程度。パッケージプランは内容や時間で異なりますが、2〜3時間で8000〜1万円程度です。家事代行を利用することで、妻が仕事と育児を両立でき、会社勤めを続けられるとしたら、「非常に安いコスト」と考えることもできます。

大卒後に同一企業で働き続けた場合、女性の生涯賃金は2億4000万円(※)とされています。もし妻が育児や家事のために30歳で退職してしまうと、それまで平均年収400万円で8年間働いたとしても総収入は3200万円となり、その後稼げたはずの約2億円を棒に振ることになります。しかもこのご時世、専業主婦でいられる人はそんなに多くありません。子育て後、再就職がパートや派遣になると、退職金や年金も大きく違ってきます。つまり、世帯の生涯総所得からみると、妻の“キャリアの温存”は非常に重要なのです。

育児は、0歳から4歳くらいまではかなり手がかかります。身の回りの世話から事故の防止など、一時も目が離せません。でも、この時期を過ぎれば食事やトイレ、片付けなど身の回りのことがある程度自分でできるようになります。この大変な期間のうち、0〜1歳は育児休暇が取れるからいいものの、その後の3年間、仕事と育児を両立させるのはまさに至難のワザ。2人目、3人目が生まれると、末子の育児休業取得後に退職する女性も少なくありません。

だからこそ、妻が働き続けられるよう家事代行を積極的に利用するのも手です。前述したとおり、例えば2億円もの機会費用が失われることを考えれば、妻が会社勤めを続けたほうが断然有利だからです。では、家事代行費がいくらまでなら採算が合うのでしょうか。

※退職金は含まず。労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2015」より

「2億円の機会費用」からみると、かなりの金額を使っても元は取れますが、育児中の夫婦は一般に年齢が若く、給料もそれほど多くありません。出せる金額の限度を、育児中の共働き世帯の平均的な年収で考えてみましょう。モデルケースは、夫が30歳、妻29歳、子供1人(1歳)。夫の給料を生活費に充て、時短勤務中の妻の手取り16万円の中から保育料約10万円(延長保育やシッター、病児保育などを含む)を出すと、家事代行に充てられるのは月5万円、年間60万円程度が上限でしょう。

一方で、仮に1回2時間で5000円とし、週2回利用した場合、費用は年間50万円(1年を50週として計算)。したがって、1回2時間で週2回利用をしたとしても、妻のキャリア温存のコストと考えられるのでは? 育休明けの1歳から4歳になるまでの3年間利用したとして、合計150万円。

なお、コストを抑えたい場合は、より料金の安い公的なシルバー人材センターの家事代行サービス(1時間=1000円前後)を利用する手もあります。

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豊田眞弓
ファイナンシャルプランナー、FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経営誌や経済誌のライターを経て、1994年より独立系FP。個人相談業務を行うほか、新聞や雑誌に多数のマネーコラム
 

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(河合起季=構成 榊 智朗=撮影)