北朝鮮の食糧事情はかなり好転していると伝えられているが、その例外と言えるのが朝鮮人民軍(北朝鮮軍)だ。配給システムが崩壊し、横流しが横行しているため、末端の兵士は常に飢えに苦しんでいる。

燃料についても同じような状況だ。兵士たちは、氷点下20度を下回る極寒の地で、寒さに震えている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、最近北朝鮮のある部隊を訪れたときのことを語った。

「朝鮮人民軍の10軍団82連隊の兵舎に入ってみた。信じられないほど寒かった。暖房もお湯も夜だけだ」

中央からは薪や石炭などの燃料は一切配給されず、すべて自力で調達することが求められる。暖房用の薪の調達は食事当番の役目だ。兵士たちは毎朝3人1組でそりをひいて、16キロも離れた山で薪の切り出しを行う。緑化政策で木の伐採は禁じられているが、背に腹はかえられない。

状況は、比較的待遇が恵まれている国境警備隊でも変わらない。暖房が入らないので、冬服を着込んで毛布にくるまらなければ寒くて寝ることすらできない。あまりの寒さに耐えかねて、薪を求めて国境を越え中国の山に入る兵士が続出している。

このような状況に対して、中央は何もしようとしない。人民軍総政治局は「中国の山林を毀損した者は厳罰に処す」との警告文書を発しただけで、暖房用の燃料を送ろうとする気配はない。

こうした中、軍に送った息子のことを心配する親心を利用して、薪を調達する方法が編み出された。

新米兵士は、面会にやって来た親からカネをもらう。そのカネで市場で薪を買って部隊に渡す。ちなみに相場は120元(約1970円)。そうすれば1週間の休暇が与えられるという仕組みだ。

兵士にとって、休暇は単なる休みではなく、生きながらえるための貴重な期間だ。衛生環境も食糧事情も悪い軍隊生活を続けていると、体調を悪化させ、最悪の場合は命すら落としかねない。言い方を変えれば命をカネで買うようなものだ。