新潟地検に宛てた告発状

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 1月5日、新潟地検は森裕子参院議員(自由党)が詐欺を働いたとして筆者とA氏が提出していた刑事告発状を受理した。これは、同じ件を指摘した1回目の告発受理(昨年10月)に続く2回目の受理である。これを受けて、森議員に対する本格的な捜査が始まる。

 筆者らが告発状で指摘したのは、いわゆる「還付金詐欺」である。あまり知られていない手口だが、政界の水面下で広がっているともいわれている。次のような手口だ。

 議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

 森議員はこの制度を利用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。資金を動かすだけでお金が膨れ上がる行為を行っていたのである。

 還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められているが、例外として「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり森議員がやったことは違法行為である。議員が自分の政党支部へ寄付した場合は、還付金を受け取る手続きをしてはいけない。

 筆者とA氏は、森議員が自身の政党支部に献金を繰り返し還付金を受け続けていた事実を突き止め、昨年8月に新潟地検に刑事告発した。同年10月になって新潟地検はそれを受理した。
 
 1回目の告発状で指摘した、森氏から自身の政党支部への献金額は次の通りである。

・2009〜11年度:2190万円(2013年4月24日付読売新聞電子版より)
・13年度:600万円

 このうち告発の対象にしているのは13年度分。当初は14年度分の115万円も対象にしていたが、還付の事実がなかったので取り下げた。今月5日に受理された2回目の告発状は、昨年11月に公表された森氏の政治資金収支報告書に基づいて作成したもので、献金額は次の通りだった。

・15年度:605万120円

 これを確認した上で、新潟県選挙管理委員会に対して情報公開請求を行い、森氏が還付金を受けるための手続きをしたかどうかを調べた。その結果、16年11月11日に、「寄附金(税額)控除のための書類」と題する森氏が作成した書面が開示された。これにより、森氏が控除を受けるための手続きをしていたことが明らかになったので、2度目の刑事告発に踏み切ったのである。

 当サイトの取材に対し、森議員の国会事務所は次のような回答を寄せた。

「昨年報道されました際に、下記のように感想を新潟県政記者クラブに送付しております。現時点においてこれ以上、コメントすることは差し控えたいと思います。

「東京都江東区の男性2名による告発状について

 10月4日付けの読売新聞27面新潟地方版において、私、森裕子に対しての告発状を新潟地検が受理したとの報道がなされたところである。当該告発状の内容が確認出来ないため、コメントは控えていたが、新潟県知事選挙の最中であり、私が知事候補の選対本部長を務めていることから、このような報道が選挙選に与える影響を鑑み、以下の通り感想を述べることとする。

 生活の党支部の会計処理は、政治資金規正法に則り適正に行われており、厳しい外部監査を経て収支報告したものである。報道にある『一時的に寄付し』、『還付金を騙し取った』は、全く事実無根であり、何ら根拠のないものである」

●ほかの議員も還付金を受領

 前述の通り、還付金詐欺は水面下で広がっているともいわれている。実際、筆者らの1回目の刑事告発が受理されたのを機に、森議員の地元である新潟県の経済誌「財界にいがた」が、地元選出の国会議員を調査したところ、菊田真紀子議員(民進党)が5年間で675万円の還付金を受けていたことがわかったという。

また、鷲尾英一郎議員(民進党)、西村智奈美議員(民進党)も政党支部への寄附は認めたが、還付金を受けたことは否定したという。この問題については、「財界にいがた」の新年号が報じている。

新潟県という一地方から選出された議員だけに限定しても、還付金詐欺の習慣が定着しているのである。かりに森議員が起訴されることになれば、この問題に一気にメスが入る可能性がある。
(文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者)