◆WEEKLY TOUR REPORT 米ツアー・トピックス

 過去に7勝を挙げている、大得意のファーマーズ・インシュランス・オープン(1月26日〜29日/カリフォルニア州)で、17カ月ぶりにツアー復帰を果たしたタイガー・ウッズ。結果は、初日「76」、2日目「72」、通算4オーバーで予選落ちに終わった。

 同大会でウッズが決勝ラウンドに進めなかったのは、初めてのことだ。でも、この結果は決してサプライズではない。メディアやファンらの大方の予想も、ウッズがすんなり予選突破できるとは見ていなかった。

 ウッズは昨秋、ツアー復帰を表明した際に「これからが"僕の第2の人生"」と位置づけた。そこには、現役選手として、まだまだメジャー勝利を目指す一方で、コースデザインなど多方面のビジネスも活性化させていく、という意味が込められている。

 はたして、その"第2の人生"の幕開けは、ウッズの近未来に暗雲を漂わせたのだろうか? それとも、ウッズが言うように「これはまだまだプロセス。回を重ねていくことで、どんどんよくなっていく」というものだろうか?

 正直、この1試合だけでそれを推し量ることはできない、というのが率直な感想だ。

 今大会、ウッズがコースに現れると、会場の空気は一変した。ウィークデーで冷たい風が吹く中でも、ウッズの復帰をひと目見ようというギャラリーが早朝からたくさん集まっていた。メディアも全米中から集結した。

 そんな大ギャラリーと多くの記者を引き連れてプレーするウッズの姿は、"王者"だった時代と何も変わっていなかった。その光景を目の当たりにして、なんとも懐かしい想いがした。

 ただ、変わったこともある。ウッズのボールの行く先だ。

 初日の出だしの1番ホール。ティーショットは大きく右に出て木を直撃した。ボールがそのまま下のラフに落ちて、隣のホールまで行かなかったのはラッキーだったかもしれない。

 グリーンを狙ったセカンドショットも右に曲がって、グリーン手前の深いラフへ。アプローチでは無難なショットを見せてピン上3mにつけたが、このパットが入らず、ボギースタートとなった。

 その後、前半は耐えてパーを積み重ね、後半の10番、11番と連続バーディーを奪ったものの、ティーショットは精彩を欠いたままだった。右にも、左にも行くショットで、15番パー4ではティーショットを左のネイティブエリアに打ち込んでしまった。結局、このホールはダブルボギーとした。

 この日、ティーショットでフェアウェーをとらえたのは、わずか4回。パーオンも、半分の9回にとどまった。それがそのまま「76」というスコアに直結した。

 2日目はスコアの出やすいノースコースを回り、ショットはかなり改善されていた。ウッズが目指すフェードショットも数多く見られた。「72」とスコアは伸ばせなかったが、"ショットの安定"という意味では大きな前進があった。これを、次戦でも続けていけるかどうかが、今後の注目ポイントとなる。

 ウッズにとって今回は、2日間の天候が不運だったかもしれない。会場となるトーリーパインズGCは、サザンカリフォルニアの温暖な気候に恵まれたサンディエゴに位置するが、太平洋からは冷たい海風が吹く。初日、2日目は、ともに早朝スタートで気温が上がらず、ウッズが十分にウォーミングアップをこなしていたとしても、持病を抱えた腰には大きな負担となったに違いない。

「生まれ育ったサザンカリフォルニア(の気候)には慣れているつもりだったが、今はフロリダに住んでいて、すっかり暖かさに体が馴染んでしまっていた。そして、練習と試合とは、やっぱり違う。自宅の練習場でできることが、すぐに試合ではできない。だから僕は今、実戦を重ねて、少しでも(試合に)慣れていこうと思っている」

 このファーマーズ・インシュランス・オープンから、5週間で4試合に参戦するウッズ。これまでにない過密スケジュールを立てたのは、そんな理由があったようだ。

 決勝ラウンドをプレーできなかったウッズは、次戦となる欧州ツアー、オメガ・ドバイ・デザート・クラシック(2月2日〜5日)が開催されるUAEに向けて、すぐに旅立った。

 砂漠での戦いとあって、今度は冷たい風を心配する必要はない。問題は、そこにたどり着くまでの飛行機移動だろうか。所要時間は、およそ17時間にも及ぶという。それには、ウッズも不安を漏らした。

「今、不安なのは長い飛行時間だ。長時間のフライトはしばらくやっていなかったから、どうなるのか、やってみないとわからない」

 ツアーに復帰して2戦目。今度は完全復活へのプロセスがさらに進行するのだろうか。

 ウッズがカリフォルニアから地球の真裏となるドバイへ向かっている頃、盟友のロジャー・フェデラーが全豪オープンで復活優勝を遂げた。これで、フェデラーが手にしたグランドスラムタイトルは18個目。ウッズが目指す、メジャー勝利数と同じだ。

 このフェデラーの勝利に、ウッズが大きな刺激を受けたことは間違いない。砂漠の地で"ウッズの狂騒"がさらに熱を帯びるのか、注目である。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN