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カンザス州立大学の研究チームは、グラフェンを大量合成できる新しい方法を発見した。炭素の供給源となるアセチレンやエタノールなどの材料ガスを酸素といっしょに容器内に封入し、自動車エンジン用の点火プラグを使って着火、爆発させるだけでグラム単位のグラフェンが得られる。研究チームはこのグラフェン量産法の特許も取得済みであるという。

グラフェンを大量合成する代表的な方法としては、化学的気相成長法(CVD)、SiC熱昇華法、グラファイト剥離法などがある。CVD法では真空チャンバ内にメタンなどの材料ガスを供給し、銅箔などの基板上にグラフェンを成長させる。大面積かつ高品質のグラフェン薄膜が得られる方法であるが、プロセス温度の調整が難しく、真空装置を使うため製造コストも高い。

SiC熱昇華法は、シリコンカーバイド(SiC)基板を1100℃以上の高温に加熱することによって表面のシリコン原子を昇華させ、基板上に残った炭素原子でグラフェンを形成するという手法。高品質な単層グラフェンを得られるが、SiC基板自体が高価なため、やはり製造コストが高い。

超音波などを使ってグラファイトを物理的に剥離してグラフェンを得る方法は、比較的低コストでの量産が可能だが、収率を上げるためには事前にグラファイトの結晶構造を変化させ、剥離したグラフェンを分散させるための溶液にイオン液体を使うなど、特殊な処理が必要。また、剥離法で得られるグラフェンは細かな破片であり、CVD成膜のような大面積のグラフェンを合成することはできない。

今回発見された方法は、材料ガスを17リットルサイズのアルミ容器内に入れて点火プラグで着火し、爆発させるだけという非常に単純なものであり、従来の合成方法と比べると、かなり簡単にまとまった量のグラフェンを得られるのが特徴である。グラフェン製造に必要な単位量あたりのエネルギーが少なく、特別な製造装置も必要としないため、コストも安く済むと考えられる。

合成されるグラフェンは、グラファイト剥離法と同じく細かな破片状である。特許情報によるとそのサイズはおよそ35〜250nmであるという。いまのところ収率は38〜66%の範囲と説明されている。高品質・大面積のグラフェンが必要な電子デバイス用途などには使えないが、複合材として他の材料にグラフェンを混ぜて使う、導電性インク、表面改質用の塗料、電池の電極材や導電助剤といった用途であれば、粉体・破片状のグラフェンで十分なので、将来的には爆発法による量産もあり得るかも知れない。

爆発法によるグラフェンは、低密度のエアロゾル状の生成物として得られる。この方法はもともと炭素エアロゾルの製造法を意図して開発されたものだった。ところが、生成物を分析した結果、予想外にグラフェンになっていることが発見された。つまり偶然の産物である。

(荒井聡)