米国のトランプ大統領がイスラム圏7カ国からの入国禁止などの大統領令に署名した。サミット参加国の首脳からは非難の声が上がっているが、安倍首相は及び腰気味。日米首脳会談を10日に控え、刺激を避けたい思惑が透けて見える。

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2017年2月3日、米国のトランプ大統領がイスラム圏7カ国からの入国禁止などの大統領令に署名し、物議を醸している。主要国首脳会議(サミット)参加国からは非難の声が上がっているが、吹き荒れる「トランプ旋風」に安倍晋三首相は、なぜか及び腰気味。10日の日米首脳会談を控え、刺激を避けたい思惑が垣間見える。

今回の入国禁止措置について、フランスのオランド大統領は「欧州が責務を果たす中、トランプ大統領が難民の到着を拒むなら、われわれは対応を取るべきだ」と言明。ドイツのメルケル首相も「テロとの戦いはいかなる場合でも、特定の信条の人々に対して一様に疑いをかけることを正当化しない。米大統領令は難民を支援する国際法や国際協力に反する」と批判した。

カナダのトルドー首相はツイッターで「迫害、恐怖、戦争を逃れようとしている人たちへ。信仰にかかわらず、カナダの人はあなたたちを歓迎する」と発信。イタリアのジェンティローニ首相は「開かれた社会、多元主義、無差別は欧州の柱だ」と反応した。トランプ大統領と外国首脳として初の会談を行い、「特別の関係」をアピールした英国のメイ首相も帰国後、「英国のやり方とは異なる」と遠慮がちに語った。

米国内でも検索最大手の「グーグル」は米国版のトップページに、第2次世界大戦中の日系人の強制収容に反対し続けたフレッド・コレマツ氏の似顔絵を掲載。「何かおかしいと感じたら、声を上げることを恐れてはいけない」というコレマツ氏の言葉を紹介し、入国禁止令に反対の意思を表明した。共和党のマケイン、グラハム両上院議員も共同声明で、「大統領令は安全保障の強化より、テロリストの人材採用につながるだろう」と指摘した。

こうした中、安倍首相は国会で入国禁止令について問われると、「米国がどのような出入国管理を行っていくか注視しているが、直ちにコメントとすることは差し控えたい」と述べただけ。他のサミット参加国首脳とは明らかに異質だ。

10日に米ワシントンで予定されている日米首脳会談について、安倍首相は国会答弁で東シナ海などで海洋進出を強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮を念頭に、「日本が攻撃されれば必ず米国も共同対処、報復すると内外に示すことは抑止力につながる。同盟関係が微動だにしていないことを世界に示す首脳会談にしたい」と再三強調した。特に沖縄県・尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されるとの言質を首脳会談でも得たい考えとみられる。

日本メディアは「入国禁止令に関しては首脳会談を控えて刺激を避け、沈黙を守っている」と報じているが、トランプ大統領は日本の為替政策にも言及し、中国とともに「通貨安に誘導している」と、やり玉に挙げた。「トランプ氏との信頼関係」(安倍首相)を重視するあまり、「ノーと言えない日本」になるのでは、と心配にもなる。(編集/日向)