主人公には共感するところが多かったという

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 「シザーハンズ」「ビッグ・フィッシュ」「アリス・イン・ワンダーランド」など、イマジネーション豊かな作品群で知られる人気監督ティム・バートンが来日。映画.comのインタビューに応じ、自身の経験を反映させたという最新監督作「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(公開中)について語った。

 ランサム・リグズ氏による全米ベストセラー小説を映画化。謎の死を遂げた祖父(テレンス・スタンプ)の遺言に従い、ある孤島に立つ屋敷を訪れた少年ジェイク(エイサ・バターフィールド)が、屋敷の主ミス・ペレグリン(エバ・グリーン)や透明人間の少年、炎操作や空中浮遊能力を持った少女ら、他人とは異なる奇妙な住人たちと心を通わせていく。

 柔和な笑みを浮かべて登場したバートン監督は「ジェイクが感じてきたことや思うことは、僕自身も実際に経験したことなんだ。だから、彼の感覚は容易に理解できた」と主人公ジェイクへの共感を口にする。「ジェイクのぎこちなさや場違い感、繊細でありながら物静かで言葉をあまり発しないようなところが、自分にとっても響いたよ。僕も、子どものころに他人から変わっていると思われていたからね。自分自身で奇妙だと思ったことはないんだが、周りからそういったレッテルを貼られてきたんだ」。

 個性を“奇異”とみなす周囲からの視線は「当初は非常にマイナスな感情があった」と幼いバートン少年を苦しめた。バートン監督自身「子どものころに孤独感を経験すると、そのあとに誰よりも友だちがたくさんできたとしても、当時感じていた気持ちはずっとついて回るものだ」と未だ胸の奥にしこりはあるようだが、「それを一旦受け入れる、つまり奇妙さこそが自分らしさなんだと受け入れ、肯定することで自分の力にしていったんだよ」と力を込める。

 「多くの芸術作品というのは、苦しみの中から生まれてくるもの。クリエイティブという観点で考えると、マイナスな気持ちは決して悪いものではないんだ。葛藤するような経験を基に、美しいものが生まれることもあるわけだから。産物としては前向きなものでも、元をたどってみると孤独であったりマイナスな気持ちだった、なんてことは往々にしてあるよね。『受け入れることで、マイナスの力をプラスに変えることができる』、それは本作にも強く感じるところだよ」。この言葉からは、バートン監督が作品に込めた「奇妙であれ」というメッセージが伝わってくる。

 孤独を排除するために個性をつぶすのではなく、自分らしさと受け入れて糧(かて)とすることで、唯一無二の存在へと上り詰めたバートン監督。それゆえに、同じ“痛み”を共有するジェイクや登場人物ヘのまなざしはとてつもなく温かい。「本作の中では、奇妙であるがゆえに孤独を感じていたのが自分だけじゃなく、周りにも同じく感じている人がいっぱいいる、と描いている。私たちのような人間は多くいるんだよ」。バートン監督によれば、日本は奇妙な人間の宝庫なんだとか。「何度も日本に来ているけれど、ここは世界中で最も奇妙な方たちと多く出会った場所だと思っている。僕と似た部分のある奇妙な人たちとね(笑)。だから僕にとっては、日本は特別で、最も奇妙で大好きな場所なんだ」と目を細めた。