CC0 PublicDomain

写真拡大

 米国のトランプ大統領がメキシコとの国境に壁を建設する大統領令に署名したことを受けて、メキシコでは米国のフォードやジェネラルモーターズなどの車への不買運動が起きた。

 それに加えて、次に対象になったのが米国の食品である。その中でも一番ボイコットの対象になったのがスターバックスである。1月26日までにハッシュタグ『#Adiós Starnucks(さよなら、スターバックス)』のtweet数が、61万701を突破したという。(参照:「Sipse」)

 そもそも、メキシコの国民が米国製品をボイコットをしようということになったのは、トランプ大統領が国境の壁の建設費用はメキシコが負担すると執拗に主張したためであった。

◆スタバ運営の現地企業も懸命にアピール

 メキシコのスターバックスは、現地企業アルセア(Alsea)が100%の出資で2002年から運営しており、現在まで国内に565店舗を展開している。更に、同社はアルゼンチンで105店舗、チリ93店舗、コロンビア11店舗も展開している。また、同社はスターバックス以外に、バーガーキング、ドミノスピッザなどの南米での展開をしており、44000人を雇用している企業となっている。展開企業のブランドが米国をルーツとするものを多く持っているということでボイコットの間接的な対象企業となっている。(参照:「Forbes」)

 そこで、メキシコの消費者がスターバックスから遠ざかるのを阻止すべく、メキシコのスターバックスが使用するコーヒー豆はメキシコ産であることをアルセア社は強調している。更に、チアパス州ではコーヒー豆の生産業者を支援するセンターを創設し、オアチャカ州では200万ドル(2億3000万円)を投じて生産に良に環境条件づくりを>していることもメディアを通して広報している。(参照:「El Financiero」)

 一方、スターバックスの苦境を利用しているのがメキシコ企業の<「シエリト・ケーリド・カフェー(Cielito Querido Café)」>である。同社は<2010年設立で現在まで60店舗を4つの都市で展開>している。(参照:「Forbes」)

◆米スタバはメキシコ系移民への支持を表明

 皮肉にも、米国のスターバックスはイスラム7か国の米国への入国を禁止した大統領令に異議を唱えて今後5年間に難民1万人を雇用すると発表したが、メキシコでの同社へのボイコットは依然続いている。しかし、1月31日にはスターバックス米国本社はメキシコのスターバックスの顧客及び従業員やその家族に向けて<米国からの移民の入国制限などがもたらす影響について支援する用意のある>ことを発表した。(参照:「El Financiero」)

 そして、今年は<4億3000万ペソ(23億4000万円)を投じて国内に50店舗を増やし、それは600人の雇用に繋がる>としている。(参照:「Net Noticias」)

 米国とメキシコの国境の壁の問題の解決方法が明確にされるまでメキシコでのボイコットは続き、良識ある米企業もその被害を被ってしまいそうである。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。