インタビューに応じたヤオ・アイニン

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 台湾出身の新進女優ヤオ・アイニンが初主演した日本映画「恋愛奇譚集」が、2月4日に公開を迎える。日本での本格的な活動を開始し、現在は日台を往復しながら女優・モデルとして奮闘するヤオが、覚えたての日本語を交え、淡く不思議な恋を演じた日々を語った。

 “ピピ”の愛称で親しまれるヤオは、川島小鳥氏の写真集「明星」の被写体となったことで注目を集め、第27回東京国際映画祭に出品された台湾映画「共犯」では綺羅星のような存在感を見せた。今作でも、ファーストカットからヤオのキュートな仕草と、中国語の美しさに心奪われる。

 田園風景が広がる福島県天栄村を舞台に、台湾人留学生ユーウェン(ヤオ)の高校生活、そしてクラスメイト・光孝(柳俊太郎)への秘めた恋心が映し出されていく。メガホンをとったのは、「放課後たち」「思春期ごっこ」の倉本雷大監督。思春期の少女と柔らかな光が差す情景、その美しさをどこどこまでも追求する倉本監督が、時にファンタジック、時にメランコリックな演出で紡いだ。

 ユーウェンは、当初は言語の壁が原因でクラスに馴染めないでいたが、赤いコートを着た少女との出会いや光孝との交流を経て、次第に周囲に解けこんでいくという役どころ。ヤオは「皆と一緒にいるとき、日本語を聞き取れなかったり、話せなかったりするところはユーウェンと同じ」だといい、「気持ちはよく理解できますし、その点で役づくりはあまり必要ありませんでした」と話す。

 そしてユーウェンとシンクロするように、キャスト・スタッフ陣との交流を楽しんだ。それだけに自然体のまま、揺れ動く感情を表現できたという。「最も共感できる点は、日本の人々とのつながりが出来ていくのに、いつかは帰国しなければいけないところ。私も撮影が終われば台湾に帰らなければならないという部分で、シンクロしていました。ユーウェンの不安や寂しさが、よくわかったんです」。

 ユーウェンはカメラを持ち歩き、道端の草花に目を凝らす少女という設定だ。ヤオも写真撮影が趣味なだけに、「写真が好きな役だとわかった時は、とても喜びました。現場でもいつも写真を撮っていました」と顔をほころばせる。疑似体験した日本の高校生活では新鮮な驚きを感じたそうで、特に光孝をめぐってぼっ発する香織(遠藤新菜)との“三角関係”に言及する。「日本映画を見ると、恋愛で競争するキャラクターがよく登場します。『日本の高校生』はそういう印象で、遠藤新菜さん演じる香織はそのイメージにぴったりなんです。台湾では、あまり恋愛で競争しないんです。友だちと同じ人を好きになってしまったら、台湾の人は恥ずかしがりですし、諦めると思います(笑)」。

 パッと華やぐ笑顔、物憂げな表情、どこを切り取ってもあふれ出る少女的な透明感が印象的。一方でキスシーンに初挑戦するなど、大人の女性らしい一面も垣間見せている。近づきたいけれど近づけない、煮え切らない感情がユーウェンの体を突き動かし、衝動的に光孝の唇を奪うというひと幕。キスの直後、自身の口元に人差し指を当て「ミーミー(中国語で秘密の意)」とつぶやく仕草は、ヤオの魅力を凝縮している。

 「すごく緊張しましたね。柳さん本人も、とても距離感がある方です。なので、現実の距離感を演技にも持ち込めました。シーンを想像したらとてもロマンチックですが、監督とコミュニケーションをとって調整するうちに、(恥ずかしさから)演じる自分が間抜けに思えてきました」と大照れだ。

 そんなヤオが、日本でも脚光を浴びることは想像に難くない。今後の展望を聞くと、希望に満ちた表情で答えてくれた。「仕事で日本に来るときは、いつも楽しいです。これから演技をもっとうまくなって、もっと日本映画に出演したいです。特に日本の漫画やアニメが好きなので、漫画原作の映画に出演してみたいです。『ポケモン』『セーラームーン』『カードキャプターさくら』が大好きです」。