国際社会の経済制裁により、暴騰すると見られていた北朝鮮のコメ価格が、むしろ大幅に下落している。

デイリーNKの集計によると、1月第4週のコメ1キロの価格は平壌で4000北朝鮮ウォン、新義州(シニジュ)で3970北朝鮮ウォン、恵山(ヘサン)では4190ウォンだった。いずれも昨年末と比べて1200〜1400北朝鮮ウォン下落している。コメ価格が4000北朝鮮ウォン前後まで下落したのは、2014年4月中旬以来のことだ。(1000北朝鮮ウォンは約13円)


この半年のコメ価格の推移。単位は北朝鮮ウォン。青は平壌、赤は新義州、オレンジは恵山を示す。(画像:デイリーNK)


これについて咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、昨年8月末の大水害以降、援助物資として中国から大量のコメが入ってきた上に、水害の被害を受けなかった黄海道(ファンヘド)や平安南道(ピョンアンナムド)でのコメの作況が良好だったことが関係していると見ている。

中国からコメが大量に流入した影響で、水害被災地の会寧(フェリョン)でのコメ価格は、他都市より安い3600北朝鮮ウォンとなっている。

平安南道の内部情報筋は、平城(ピョンソン)におけるコメ価格が昨年末から下がり始め、今年に入って4000北朝鮮ウォンまで下落したと伝えた。またコメ業者の話を引用し、昨年1月と比べ市場に供給されるコメの量が増えたと伝えた。

この情報筋によると、平壌の市場で売られているコメの約7割が中国産の古米で、パサパサしているため、北朝鮮産のコメと混ぜて炊く家庭が多いとのことだ。

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、北朝鮮が中国から昨年4万2000トンのコメを輸入し、前年比で2.4倍となったと報じた。これについては、当局が、世論の悪化を防ぐためコメを大量に輸入し、価格を安定させようとしているのではないかとの見方がある。

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一方、両江道(リャンガンド)の情報筋は、コメ価格下落は市場に対する統制が緩和されたことが一因であると見ている。

この情報筋は、金正日政権時代には市場に対する統制が厳しく、そのせいでコメ価格が上昇することもしばしばあったが、今は統制が非常に緩くなったため、価格が安定しているとの見方をしている。

コメ価格の下落は、都市住民にとっては喜ばしい話だが、全人口の2割を占める農民にとっては死活問題だ。実際、「コメ作りだけに頼っていたら飢え死にする」との不安が広がっているとのことだ。また、下がっているのはコメ価格だけで、他の工業製品の多くは価格が上昇している。