photo by Gage Skidmore CC BY-SA 3.0

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 2017年1月20日、とうとうドナルド・トランプ氏が第45代のアメリカ合衆国大統領に就任しました。公職経験のない人物が大統領になるのは初めてであり、また就任時の年齢としては歴代史上最高齢の大統領ということになりますが、就任早々、TPPからの離脱、メキシコ国境の壁建設、イスラム圏7カ国からの入国禁止など物議を醸す大統領令を乱発し、世界的な議論を巻き起こしています。

 彼はこれまでに多数の著書を出しており、その中に大統領選挙に出る前の半生を語った、『トランプ自伝』という自伝があります。本書から、全米中の世論を二分させながら、見事、勝利をもぎ取った彼の強さの秘密、そして成功の秘訣を探ってみましょう。

◆成功の秘訣〕澆靴い發里手に入るまで押しまくる

 彼は本書の中で、自らの基本戦略に関して「ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる」と表現しています。具体的なエピソードとして、彼が若い頃、「ル・クラブ」という高級クラブの会員になったときの話を見てみましょう。

 「ル・クラブ」は、当時最も注目を集めていたクラブで、入会できるのは著名人や大富豪だけなど、その選考が厳しいことで知られていたそうです。

 当時まったく無名だったトランプ氏ですが、このクラブにどうしても入会したいと思った彼は正面から堂々とクラブに電話をし、入会したいとストレートに告げたそうです。当然ながら断られると、次の日にまた電話をかけ、せめてクラブの会長の連絡先を教えてほしいと頼みます。そして会長に電話をした彼はひたすらしゃべり続けて入会を懇願し、面白がられて一緒に飲むことになり、やがて入会を許されたということです。

 その後もこうした強気な姿勢を崩さなかったトランプ氏は結果として、美しい夫人(3回の結婚歴あり)や超高層ビル(「トランプ・タワー」)、高級ホテル(「トランプ・キャッスル」)、アメリカンフットボールチーム(「ニュージャージー・ジェネラル」)など様々なものを手中にし、最後には大統領の地位まで掌握することで、この戦略の有効性を示した形になっています。

◆成功の秘訣逆らう者は徹底的につぶす

 選挙中のヒラリー・クリントン陣営への口撃や、メディアへの攻勢、オバマ前大統領への批判などに見てとれるように、彼は「逆らう者には容赦しない」という姿勢を一貫してとりつづけています。

 彼自身、「良くしてくれた人にはこちらも良くする。けれども不公平な扱いや不法な処遇を受けたり、不当に利用されそうになった時には徹底的に戦うというのが私の信条だ」と述べており、意図的にこうした姿勢をとっていることを認めています。

 これも具体的なエピソードで見てみましょう。

 トランプ氏を象徴する建築物である、ニューヨーク市の「トランプ・タワー」。この建設をめぐり、トランプ氏は当時のニューヨーク市長であったエド・コッチ氏と激しく対立します。そしてこの贅沢を極めたタワーの建設を快く思わないコッチ市長は、通常、デベロッパーに与えられる税制上の優遇措置をトランプ氏には与えないという強硬手段に出るのです。
これに激怒したトランプ氏は、専門家から「裁判をすれば莫大な費用がかかる上、勝ち目はない」と忠告されたにも関わらず、徹底抗戦の道を選びます。そして、実に6つの法廷を舞台にニューヨーク市側と大舌戦を繰り広げた末に、見事勝利をおさめるのです。

 このような好戦的な態度には、多くの敵を作らせる代わりに、彼に逆らおうという者の戦意をくじく効果があると思われます。成功をおさめるには万人に好かれる必要はなく、むしろ自分の邪魔をする者を減らしていくのが早道だと考えると、この「逆らう者は徹底的につぶす」というスタンスは、ある意味で非常に効率的なのかもしれません。