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 農林水産省「茶をめぐる情勢」(参照)によると、国内の茶の栽培面積は、ほぼ横ばいではあるものの、減少傾向にある。

 生産量は、緑茶飲料需要の増加を受けて2004年産が10万トンを超えるなど一時期増加したが、その後は約9万トンで推移している。主産県における茶の販売農家数の減少が著しい。2010年の全国53,687件から、2015年は全国20,144件と、茶の販売農家数が4割以下まで大幅に減少している。

 消費傾向については、緑茶(リーフ茶)は減少傾向にある一方でペットボトル茶の需要は増加しており、1世帯当たりの年間支出金額の合計は、近年、約1万円程度で横ばいに推移している。

 このように、お茶を巡る状況は決して急成長している伸び盛りの市場とは言い難いものである。

 そんな中、2012年3月6日に、大阪証券取引所JASDAQ市場に株式を上場。静岡県内では約2年半振りとなる株式上場を果たした。2014年7月8日には、東証二部への市場変更を行った。さらに、2016年10月11日には、東証一部への指定替えを行ったなど急成長しているお茶販売企業がある。静岡県島田市に本社を置く「ティーライフ」である。

 横ばいで推移する市場の中、なぜティーライフが成長したのだろうか?

◆「一見バカなことでもやる」という社是

 ティーライフ代表取締役社長植田伸司氏は、株主へのトップメッセージを以下のように記している。

“企業の競争戦略の根本は「他社と違った良いことをする」に尽きると思います。「他社と違った良いこと」とはもちろんお客様にとって良いことであります。しかし「良いこと」と「違った」は矛盾することでもあります。「他社と違った良いこと」はすぐに真似されるか、もうすでに誰かがやっていることが多いからです。だから、すぐに真似されない一見「理にかなわないこと」を実行して、「他社と違った良いこと」を生み出し、磨き上げていかなければなりません。したがって、一見「バカな」といわれることでも、後で「なるほど」といわれるようなことを果敢に実行していきたいと思います。”(参照:同社ウェブサイト)

 筆者は以前、『投資家なら要チェック。2016年「ポーター賞」受賞企業が決定』という記事を執筆したが、同記事で「ポーター賞」の競争戦略のコンセプトは、「競合が真似しようとしても真似できない。競合が真似すると、競合が自滅する」ため、一見すると「非合理的な戦略が競争優位の源泉になる」と書いた。

 独自性のある戦略によって競争に成功した日本企業や事業部に贈られ、投資家からも注目を集める同賞のコンセプトと、まさしく植田社長の理念が一致するのである。

 この独自性ある理念こそが、同社の競争力の源泉となったのではないだろうか?

◆地元の緑茶を敢えてスルー

 では、ティーライフの成長の原動力となった独自性ある戦略とはなんだろうか?

 まず、同社はもともとティーバッグの加工業からスタートしたが、92年から通販事業に目を向け、代理店経由の販売でなく、個人消費者に通信販売に的を絞って展開した。中でもヒットしたのは、同じ静岡県浜松市を拠点とする大手通販会社ムトウのカタログに同封した同梱チラシで売り込んだプアール茶だ。女性顧客層を多く抱えるムトウのカタログユーザーに、ダイエット効果を謳うプアール茶がマッチングしたのである。緑茶も取り扱っているが、静岡県の会社であるにも関わらず、主力商品No.1は緑茶ではなく、「ダイエットプーアール茶」なのである。敢えて地元の緑茶ではなくプアール茶を扱う。ここがまさしく同社にとってのブルーオーシャンだったのだ。

 さらに、「30日間返品・返金保証」(開封しても返品返金)や、商品券セール(商品券、切手、図書券などでの支払いが可能)などのサービスやさまざまなキャンペーン、届いた商品には手書き風の手紙なども添えられているなどの顧客とのコミュニケーションが受け、リピーターを確保しているのだ。

 こうしたことに加えて、同社は市場が急速に拡大している中国を中心に海外ECの展開を開始し、販路拡大に取り組んでいる。(参照:「第1四半期報告書」)

 当初は、楽天などを通じた越境通販を行ってきたが、直接に中国の有名モールに出店する計画を進めているという。

 プアール茶の本場でもある中国での販売がどうなるかは今のところ不明だが、今後も注目しておいたほうがいいだろう。

<文/丹羽唯一朗 photo by umehanayuuki via pixabay(CC0 Public Domain)>