「Thinkstock」より

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 1月31日、大手出版社・講談社社員でコミック誌「モーニング」編集次長の朴鐘顕(パク・チョンヒョン)容疑者を起訴した。

 同10日に警視庁に逮捕されていた朴容疑者は、警察の調べに対し、「育児をめぐって夫婦げんかになり、もみ合いになってヘッドロックをした」「気がついたら自殺していた」「妻は自分(=朴容疑者)のジャケットで首をつった」などと容疑を否認していた。佳菜子さんの首には絞められた痕跡があり、警視庁は朴容疑者が腕で首を絞めた可能性があるとみているという。

 普段はさまざまな事件を報じる側のマスコミだが、出版社のみならず新聞社、テレビ局など大手マスコミ社員が犯罪を犯す事例も後を絶たない。そこで今回は、これまでにマスコミ社員が起こした犯罪・事件を振り返ってみたい。

●新聞社

 まず、記憶に新しいところでは、日本経済新聞社のデジタル編成局社員の男が、不正アクセス禁止法違反などで2016年11月に逮捕された事件が挙げられる。

 被害に遭ったのは、モデルの押切もえや、NMB48の元メンバーである渡辺美優紀ら。男はなんらかのルートで彼女らの電話番号やメールアドレスを入手し、誕生日などのプロフィールをヒントにログインパスワードを特定すると、メールサーバーやクラウド型データ保存サービスの中身を盗み見ていたのである。

「パスワードを突破することに喜びを感じ、ゲーム感覚でしてしまった」と男は供述しているが、「安易に推測できてしまうパスワードの設定は避けるべきだ」と世間に警鐘を鳴らすかたちにはなったかもしれない。なお本件について、日本経済新聞社は「逮捕された社員は当社が保有する顧客の個人情報を犯行に使用していない」との認識を示した。

 さらに遡ること14年11月には、同じく日本経済新聞社の文化事業部次長の男が、覚せい剤取締法違反で逮捕されている。密売人とメールでやり取りしていたうえ、自宅には約0.37グラムの覚せい剤を所持。懲役1年6月、執行猶予3年という判決が下り、懲戒解雇となった。

 余談だが、ニュースサイト「MyNewsJapan」が06年に調査した「マスコミ犯罪ランキング」にて、日本経済新聞社は第1位になっている。06年1月1日〜10月6日という期間内だけで、児童買春、証券取引法違反、詐欺などにより6人もの社員が逮捕されている。

 ほかの新聞社でも、不祥事の記録はいくつも出てくる。

 15年8月、読売新聞大阪本社で編成部記者をしていた40代の男が、20代の大学生に道端で口論を吹っかけ、首をつかむなどして傷害を負わせた。発端は通行トラブルだったらしく、この男は酒を飲んでいたとのことである。

 12年5月には、中日新聞の技術局印刷部の男が児童ポルノ製造容疑で逮捕。会員制サイトで素人モデルをしていた17歳の少女に現金2万円を支払い、18歳未満だと理解していながらも猥褻な写真の撮影に及んだという。

●テレビ局

 一方、テレビ局社員による犯罪もみてみよう。

 11年8月、NHK制作局の男が電車内で女性のスカートの中を盗撮したとして、東京都迷惑防止条例違反で逮捕されている。男は青少年・教育番組部のチーフプロデューサーという立場であり、小学生向けの教育番組などを手がけていた。

 12年5月には、フジテレビ社員の悪事が連続で明るみになっている。営業局の男は酒を飲みタクシーに乗車していたが、支払いでクレジットカードが非対応だったことに激高し、運転手を攻撃。さらにはタクシーにも傷を付け、暴行と器物損壊の容疑で逮捕されるに至った。

 そのわずか2日後、今度は同局のドラマプロデューサーの男が飲酒運転。停車中だったタクシーと衝突し、道路交通法違反と自動車運転過失傷害で現行犯逮捕された。

 そしてアナウンサーや司会者として活躍するみのもんた氏の次男も、13年9月に窃盗未遂容疑で逮捕されている。彼は日本テレビの社員だった当時、路上で泥酔していた男性のキャッシュカードを盗み、コンビニのATMで現金を引き出そうとしたという。やはり事件の注目度は大きく、父が謝罪会見を開き、出演番組の降板にまで発展した。当の次男は日本テレビを諭旨解雇となった。

●プライドの高さがアダか

 こうしたマスコミ関係者による犯罪が後を絶たない背景について、数多くの出版社やテレビ局と取引のある編集プロダクション代表は、以下のように見解を述べる。

「出版やテレビ業界といったマスコミには、エリート意識の高い人材が多く集まる傾向にあります。大手マスコミ勤務の正社員ほど、学生時代は有名大学に通い、そのまま一流企業へ入社というコースを歩んでいるわけですから、“自尊心の塊”のような人材が集まってくる構図が出来上がっているといえます」

 さらに同氏は、「プライドの高さをこじらせ、人格が破綻している人も少なからずいます」と続ける。

「もちろん全員が全員ではありませんが、身勝手な振る舞いをしてしまっているのに自覚がないというタイプも、なかには見受けられます。常日頃からアルバイトスタッフや下請けの制作会社のスタッフを見下しているような態度の人もいますし、自分のすることはなんでも許されるという価値観を根幹に持つ人が存在するのは、確かです。自己中心的で、なんでも自分の思い通りになるといった万能感を抱いている人もいる。そういった気質のマスコミ関係者が、道を踏み外してしまうのではないでしょうか」

 大手マスコミ社員は、自身のプライドが命取りとなってしまわないよう、自覚することが必要といえよう。
(文=編集部)