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KDDIが2日に公開した2016年度第3四半期決算は、売上・利益ともに前年を上回る好調なものだった。しかし、その中身を詳しく見ていくと少し印象が変わるかもしれない。MVNOに関わる指標を重視する同社の経営姿勢が見えてくるのだ。

KDDIの2016年度第3四半期連結決算は、売上が3兆5,222億1,900万円で前年同期比6.8%増、純利益は5,512億5,200万円で同20.9%増と好調だった。

セグメント別では、為替の影響を受けた海外事業が前年を下回ったものの、個人向けモバイル・固定通信サービス、コンテンツ・決済などの付加価値サービス、法人向けのすべてのセグメントで前年同期を上回った。最も規模の大きい個人向けモバイル・固定通信サービスのパーソナルセグメントが売上2兆7049億900万円と同4.1%増となり、全体を牽引した形だ。このうち根幹となるモバイル通信料収入も4490億円で前年同期比1.7%増と伸びている。

しかしながら、モバイル通信サービスの契約の内訳を知ると、少し違った見え方もする。それは、auの通信サービスの契約者人数を表すau契約者数は微減傾向にあるからだ。代わりに増えているのは、UQコミュニケーションズやジュピターテレコムが提供するMVNOサービスの数値となるMVNO契約数だ。まだ全体に大きな影響を与えるほどではないものの、携帯電話業界の市場環境を見ると、この先もこの傾向が強まるのは避けられない。

こうした背景をもとに、KDDIでは今回の決算からau契約者数とMVNO契約数の合計値を意味する「モバイルID数」を対外的に公表するようになった。KDDIは「au+MVNOベースでの"モバイルID数"の成長を目指す」としており、この数値を重視していく方針だ。

事業戦略においてもMVNOを重視する姿勢は同じ。連結子会社のUQコミュニケーションズはMVNO新規市場で30%のシェア獲得を目指していく。1月末に傘下に加わったビッグローブについては、同社の持つ240万超の顧客基盤と、KDDIの持つ店舗網ほか、金融・コンテンツ、コマース、エネルギーなどのライフデザイン事業の連携を取り、利用者の拡大を図っていく。

ビッグローブのMVNO事業はNTTドコモの回線を利用した格安通信サービスであり、ドコモの回線数もモバイルID数に今後含まれることになるため、今後、この数値の取扱いを巡ってはややこしさが生じるかもしれないが、今回公表された一連の資料を見る限り、MVNOの存在がこれまで以上に大きく、もはや無視できないものになっているのは確かなようだ。

(大澤昌弘)