安全保障の名の下では、プライバシーなんてあったもんじゃない。

2017年1月27日、Twitter(ツイッター)がFBIから受け取った、令状なしに顧客情報の提出を求める国家安全保障書簡(通称NSL:National Security Letter)を2通公開しました。NSLとはアメリカ合衆国連邦政府が、国家安全保障の名目のもと情報収集のために発行する書状です。なんとこの書状、受け取ったことを公表することすら禁止されているため、どんな企業が、いつどのような内容の情報を提供しているのかほとんどわからないのです。

2015、2016年に発行されたそのNSLはTwitterのユーザー情報を求めるもので、調査が終わるまではその令状の公開禁止が命じられていました。Twitterの法務部長 Elizabeth Banker氏によるとそのかん口令が解かれ、初めてNSLを受け取ったことを公開できるようになったそうです。

我々(Twitter)はそれぞれのTwitterアカウント保持者に、関連するNSLのコピー(プライバシー保護のため一部編集済み)と提出せざるを得なかったアカウントデータを知らせました。実際のNSLは膨大なデータの提出を求めていましたが、弊社は連邦法とアメリカ合衆国司法省の解釈ガイダンスに基づき、最小限のデータのみを提出いたしました。

またBanker氏は、そのNSLへの対応を、このようにTwitterの公式サイトで説明しています。

さらに、TwitterはFBIによる制限のため、ユーザーに対しNSLを受け取ったことを伝えることができず、社の透明性が維持できないことに不満を示しています。Twitterは現在Twitter v. Lynch訴訟の最中で、アメリカ政府がTwitterに対し「政府の監視がどの範囲まで行われているのか、さらにはどのような法的要請がされていないのかすら公表することを禁止している」のは憲法修正第1条を犯しているとして提訴しています。

明らかに行き過ぎに思えるこのNSL。ロイターによると、このNSLの一連のプロセスはFBI自身のガイドラインにすら反している可能性があるとしています。

今回の新たに発覚した2つのNSLは、特に電子通信処理記録(eメールのヘッダ情報からウェブサイトの閲覧履歴など)を要求しています。

プライバシー保護を唱える人々は今回の一件から、2008年にアメリカ司法省がこのような公的命令は電話通話記録のみに限られるべきであると定めた覚書の制約を超えて、FBIはインターネット履歴を手に入れるために日常的にNSLを使っているのではないかという疑念を深めています。

2014年のFBI監察官によるレポートでもこの覚書のガイダンスに反していると指摘されています。もはやFBIのやりたい放題。

Twitterのみならずその他の企業もNSLに疑問を持っています。Electronic Frontier Foundation(EFF)の顧問弁護士であるAndrew Crockerは、ロイターに対し「これは今実際に行われていることで、意図された範囲をはるかに超えている」と答えています。EFFは現在、第9巡回区控訴裁での訴訟で、NSLの違憲性を訴えています。EFFの次の公判は2017年3月20日を予定しています。

なお、1年間に何万通ものNSLが発行されているにもかかわらず、そのかん口令が解かれ公になった数はごく僅かしかありません。ここ数カ月では、Cloudflare(クラウドフレア)、Google(グーグル)、the Internet Archive(インターネット・アーカイブ)、Yahoo(ヤフー)といったハイテク企業が同じく受け取ったNSLを公開しています。

2016年にはFBIがApple(アップル)のiPhoneロック解除のためのバックドアを作らせようとしたりBlackBerryがユーザーデータのアクセス権を提供していたなど、安全保障のためとはいえ、近年プライバシーの保護がないがしろにされている気がします。今後Twitterは2017年2月14日のLynch訴訟のため出廷する予定になっていますが、どのような判決になるのでしょうか。

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image: Anthony Correia / Shutterstock.com
source: Twitter, Reuters via Techdirt

Rhett Jones - Gizmodo US[原文]
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