ソニー(6758)は1月30日、「映画分野の営業権に関する減損計上のお知らせ」なるIRを発表し、2016年10〜12月期に減損損失1121億円を営業損失として計上すると発表しました。2017年3月期の連結業績予想は売り上げ7兆4000億円、営業利益2700億円(うち映画事業は売り上げ9100億円、営業利益290億円)となっていましたが、全て2月2日の2016年10〜12月期決算発表時に公表するとして引っ込めてしまいました。ソニーの映画事業はこれからどうなるのでしょう? 日本株や為替、世界経済について、明快かつ独特な視点で切り込む刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が解説します。

映画制作・配給事業の収支が
とんでもなく悪化している!

 IR資料によると、減損の対象となった営業権の大半は1989年にコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現・ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)を公開買い付けした際に計上したものとされています。

 具体的には映画分野の営業権のうち、プロダクション・アンド・ディストリビューションの1121億円を全額減損するようです。これは映画制作・配給という映画会社本来の業務にかかわるところで、ここを全額減損するということは、今後の映画事業の収益見通しが「とてつもなく悪化している」ことになります。

 またメディア・ネットワークの営業権1145億円は、そのまま計上していくようです。

 ところで1989年にソニーがコロンビア・ピクチャーズ(当時)を買収した際の金額は48億ドル(約5000億円)でしたが、1995年にも営業権の減損損失として2652億円を計上しています。

 映画会社とは、その事業の性格上から企業価値の大半は営業権(要するにヒット作品を生み出して稼いでくれるはずという期待感の対価)となりますが、買収以降その大半を減損してしまったことになります。

映画産業は好調なのに…
ソニー・ピクチャーズだけが苦戦する理由

 ソニー・ピクチャーズは、本場ハリウッドの映画会社(制作・配給会社)では大手6社の一角です。そして世界でも米国でも映画業界は決して不況ではありません。

 まだ2015年の集計しかありませんが、映画産業の世界規模は383億ドル(4兆2000億円)で前年比5%伸びています。国別トップは米国の111億ドル、2位が中国の68億ドル(前年比41%増)、3位が英国の19億ドル、4位が日本の18億ドルと続きます。2016年はポンド安だったので日本が3位に浮上しているはずです。

 また大手6社とは、ウォルト・ディズニー、ユニバーサル・スタジオ(ケーブルテレビのコムキャスト傘下)、ワーナー・ブラザース(タイム・ワーナー傘下)、20世紀・フォックス(ニューズ・コーポレーション傘下)、パラマウント(ケーブルテレビのバイアコム傘下)、それにソニー・ピクチャーズのことです。

 ソニー・ピクチャーズを除いた5社は、すべて世界的な総合メディア・グループの傘下にあり、映画(アニメも含む)もそのグループ戦略にしっかりと組み込まれています。

 2015年10月にコムキャスト傘下のユニバーサル・スタジオが、日本のユニバーサル・スタジオ運営会社の51%を1830億円でゴールドマン・サックスから買ったのも、グループ戦略の一環だったはずです。

[参考記事]時価総額7000億円と目されたUSJ再上場をゴールドマンサックスが半額で譲った理由(2015年10月9日)

 さらに2016年10月には、通信大手のAT&Tが総合メディア・グループのタイム・ワーナーを854億ドル(9.8兆円)で買収すると発表しています。これはさすがにFCC(連邦通信委員会)が認めないと思われていましたが、トランプ政権となってFCC委員長も規制緩和派に交代したため可能性が出てきました。

[参考記事]米通信大手AT&Tがタイムワーナーを買収、世界の総合メディア企業は「新戦国時代」に突入か!?(2016年10月28日)

 こう考えると、ソニー・ピクチャーズだけは総合メディア企業ではないソニーの傘下であり、グループとしてのシナジー効果が今一つ上がっていないことになります。つまり「使いこなせていない」あるいは「コントロールできていない」わけです。

闇株新聞は映画事業売却を予想!?
買収するのはベライゾンか

 アクティビストのダニエル・ローブが2013年にソニー・ピクチャーズのスピンオフ(分離・上場)を提言していましたが、その時点ではソニー・ピクチャーズの企業価値はソニー・グループから切り離した方が大きくなるとの見通しだったはずです。

 その時点からソニー・ピクチャーズの企業価値がどれくらい棄損してしまったかは不明ですが、本紙は「今からでも売却してしまうべき」と考えます。ただ米国の総合メディア・グループ傘下にはすべて映画会社があるため、残る可能性はもう1つの通信大手のベライゾンか?と考えています。

 さてソニー経営陣の判断はどうなのでしょう?

文中にもある通り、2月2日にはソニー(6758)の2016年10〜12月期決算発表があり「映画分野の営業権に関する減損計上」を踏まえた業績予想が改めて示されます。ソニーは収益改善に見通しの立たない映画事業をこのまま継続するのか、あるいは世界の総合メディア企業郡の戦国時代の荒波に飲み込まれてしまうのか!? 続きは刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』でお楽しみください。