朝青龍

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 大相撲稀勢の里が横綱に昇進したことでささやかれ始めたのが「朝青龍のモンゴル巡業要請」だという。現在は母国モンゴルで実業家となっている元横綱・朝青龍(本名・ドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ)が、稀勢の里との親密な間柄から、日本相撲協会の関係筋にモンゴル場所の開催を要請するというウワサがあるのだ。

 なぜ稀勢の里の横綱昇進で、朝青龍がモンゴル巡業に動き出すのか。モンゴルで日本のメディア向けガイドをしている男性によると、その背景には「朝青龍が2020年の国会議員選挙を見据えて、母国でのイメージアップを狙っている」という。

「ダグワドルジ(朝青龍)さんはモンゴルでよく知られていますが、ゴシップも多いので嫌いだという人も少なくないんです。今は選挙に向けて、その存在をアピールすることに躍起になっているんです」(ガイドの男性)

 現役時代はモンゴルの国民的ヒーローだったはずだが、それも過去のものなのか。

「本人は国会議員になって、それこそ大統領になりたいというぐらいの大きな野望を持っているとも聞く」とガイド。そこで、現地で人気の高い日本の大相撲を利用しようというわけだ。

「かわいがっていた稀勢の里の横綱昇進となれば、表向き『お祝いだ』として巡業計画をプレゼントする形が取れます。決まれば現地開催の費用はモンゴル側から引っ張れる部分もあるので、相撲協会にとっても、悪くない話のはず」(同)

 朝青龍と稀勢の里は現在でも連絡を取り合うなど特別な絆があるといわれる。03年の夏場所、当時16歳だった稀勢の里が三段目で7戦全勝しながら決定戦で敗れた際、人目を気にせず号泣。当時の横綱・朝青龍が「その悔しさを忘れるな。そうすれば必ず強くなる」と励ましたというエピソードがあり、それ以来、稀勢の里は朝青龍を尊敬してきたとされる。実際に巡業の場所を決めるのは相撲協会の巡業部になるが、横綱となった稀勢の里がモンゴル行きを強く望めば、大きな後押しとなるのは間違いない。

 過去、モンゴル巡業は朝青龍の知名度を生かし08年に実現したが、このときは舞台裏のトラブルが表面化。モンゴル力士の先輩で国会議員の元小結・旭鷲山がぞんざいな扱いをされて激怒し、「モンゴルは暴動も起きていて、治安が悪い」として延期を申し入れたことで対立。モンゴル側が決して一枚岩でないことを露呈した。

「当時のモンゴル興行は、朝青龍さんが募った基金が主体だったんですが、こういう基金は先に旭鷲山さんもやっていたのでもめたわけです。開催会場も大きな相撲会館があるのに、朝青龍は自分が経営するサーカス劇場でやってしまった。さらに朝青龍は、親族も関わる投資銀行を入れて利権を総取り。それでも結果は平均月収が1万円のモンゴルで2万円近くする席が完売する大盛況で、かなり収益を上げました。こういった強引な手法で目的を遂げたものの、敵もつくったので、2度目をやるならモンゴル国内よりまず日本の後押しが必要になるでしょう」(同)

 朝青龍は、最近でも日本の北海道から「そばの実」を輸入するなど、両国を股にかけた事業に積極的で、その手腕は侮れない。

 ただ、日本の角界関係者には一定の朝青龍アレルギーが存在するといわれる。

 かつて反社会勢力ともめて暴力事件を起こし引退した経緯をはじめ、何かと協会を困らせた過去から、「朝とは関わりたくない」と公言する役員もいるという。そのあたりは稀勢の里も重々承知ではあるだろう。

 角界関係者によると「今の巡業部長は、力士に品行方正を求める点で非常に厳しい貴乃花親方が務めているから、朝青龍とは距離がある」という。ただ、「稀勢の里はもちろん、白鵬など横綱たちの後押しがあれば事情は変わってくる」とも話す。

 一説には朝青龍は、モンゴルで稀勢の里の横綱昇進を祝うパーティーの開催を呼び掛けているというが、これが事実なら、モンゴルに横綱を呼び寄せて政府要人に引き合わせるなど、モンゴル巡業への根回しになる可能性もある。

 稀勢の里が優勝した1月22日、朝青龍はTwitterで「長い間ご苦労様。ついでに泣いちゃた」と日本語で喜びの一言。その思惑はもっと深いところにあるのかもしれない。
(文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)