【六川亨の日本サッカー見聞録】Jリーグに戻った高萩への期待

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▽Jリーグは各チームとも沖縄や九州でのキャンプでテストマッチを重ねている。といったところで、今シーズンは大型補強を敢行したFC東京の練習を小平グラウンドで取材した。お目当ての選手は、1月中旬に急きょ加入したMFの高萩洋次郎だ。広島時代はクラブ史上初のプロの高校生Jリーガーとしてデビュー。2012年は広島の初優勝に貢献すると、活躍を海外に移しAリーグ(オーストラリアリーグ)のウェスタン・シドニーやKリーグ(韓国)のFCソウルで活躍。トップ下のファンタジスタとしてKリーグ優勝にも貢献した。

▽FC東京にしてみれば、昨シーズンはボランチの米本と橋本が相次いで負傷。シーズン終盤は負傷を抱える梶山と、田辺をコンバートしてなんとかしのいだ。しかし橋本は1月31日にやっと全体練習に合流したものの、米本の復帰にはまだ時間がかかる。そこで、FCソウルではトップ下でプレーしていた高萩をボランチ候補として獲得したという訳だ。

▽183センチの長身にもかかわらず、しなやかなプレースタイルから長短のパスで攻撃を組み立てる高萩は、個人的には現代サッカーでは希少種と言ってもいいクラシカルなファンタジスタだと思うし、正直好みのタイプだ。ただし、攻守に運動量が求められる現代サッカーで生き残る場所があるのかどうか。それは指揮官が求める、あるいは“許す”役割によって替わってくるだろう。高萩と同じことは磐田に移籍した中村俊や、スペインリーグ2部のテネリフェへ移籍した柴崎にも当てはまる。R・バッジョを外した歴代監督が示すように、ファンタジスタが生息できる場所は年々減少している。

▽そんな状況にもかかわらず、高萩は「日本のJリーグとは違うプレースタイルや激しさを肌で感じてきた」とAリーグやKリーグでの体験を元に、「このチーム(FC東京)でも引き続き厳しさを持って、チームにいい影響を与えたい。攻撃の起点になるパスや、1本でゴールにつながるパスをゲームで出して行きたい」とファンタジスタ宣言をした。

▽歌舞伎役者の中村獅童に似た風貌(と個人的に思っている)の高萩が、3シーズン振りのJリーグでどんな活躍をするのか。そしてFC東京に復帰した太田やC大阪への移籍が決まった清武など、今シーズンは海外から逆流入した選手に注目したいと思う。彼らが海外でどれだけの経験値を重ねたのか。それがJリーグに活性化につながれば言うことはない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。