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ベネディクト・カンバーバッチが、マーベル・スタジオ最新作『ドクター・ストレンジ』(公開中)で、元天才外科医の魔術師として降臨! これまで彼は『SHERLOCK(シャーロック)』(10〜17)のシャーロック・ホームズや『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(13)の悪役ジョン・ハリソン、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14)の天才数学者アラン・チューリングなど、幾通りものカリスマを演じてきた。今回も異色のヒーローがドハマリだ!

交通事故で両手の機能を失い、絶望の淵に立たされたストレンジ。彼はカマー・タージと呼ばれる聖域で、神秘の力を操る指導者エンシェント・ワンの下で修行を積み、人知を超えた力を手にしていく。自身もチベット仏教僧院というスピリチュアルな場所で過ごした経験をもつカンバーバッチを直撃し、当時の体験や本作の撮影エピソードについて聞いた。

――魔術を使うヒーロー、ストレンジはクールなのにコミカルでとても魅力的でした。浮遊マントとのやりとりも最高でしたね。

マーベルの映画は、コミカルなシーンやユーモアを盛り込むのが絶妙にうまいですね。本作では浮遊マントとの絡みがキーになっていて、クスッと笑えるから、僕自身も演じていてとても楽しかったです。全編を通してアドリブも多く、実はマントの襟が涙を拭うシーンは僕のアイデアなんですよ。

――マントの登場シーンもかなりインパクトがありました。

マントは“もう1人のキャラクター”となっています。自分の意志を持つというところが、非常にユニークでしょ。普通ならばヒーローが自ら武器や道具を手に入れたり身につけたりするけど今回は逆で、マントの方がストレンジを見つけ出すんです。マントが向こうからやって来るというところも、今までの作品とは一味違った面白いポイントですね。

ストレンジとマントが初めて対面するシーンでは、お互いにどんなやつなのか?と探り合うんです。ストレンジはマントの使い方を知らないし、マントも彼の人柄が分からないので、ギクシャクした感じになる。その凸凹コンビはまるで人間同士のようにとても面白く描かれています。

ストレンジはまだ修行の身であり、マントを使いこなせない状況で、そこもまた笑いを生むんです。みんなでアイデアを出しながら、キャラクターとしてのマントを練り上げていきました。

――19歳でチベット仏教僧院で過ごした経験があるそうですが、今回その経験はどんなふうに役立ちましたか?

西洋の文化で育った若者が、初めて東洋の国に行って全く異なる文化に触れる、その体験自体が僕にとっては貴重なものでした。そういう意味でも、ストレンジという西洋人がチベットを訪れ、新しい世界に出会うというところがリンクしていますね。

僕は当時物理学にとても興味があって、ものすごく難解な本を読む努力をしていました。そんな本を読みながら東洋哲学や物理学にふけりつつ、バックパッカーのようにリュックを背負い、インドのデリーからいろんな所を旅して回っていたんです。それまで目に触れることのない文化的な儀式や日常生活などを肌で感じ取っていったことを覚えています。

――そこでの出会いも大きかったのでしょうか?

そうですね。そこで出会った人々は、山に囲まれ、人里離れた所にいながらも非常にユーモアのセンスがありました。インターネットも使うし、ポップカルチャーなど、意外と近代文化にも精通していたので驚いたこともありました。異文化交流ということでも、お互いに素晴らしい関係性を築けたし、とても面白い体験ができたんです。

僕が読んだ難解な本によると「1つの次元からもう1つの次元に移っていく」という感じで人間がステップを踏んで成長するためには「今の自分を知らなければいけない」とありました。物理学なのでたくさんの数式が出てくるのですが、残念ながら私は数学があまり得意ではなかったので「自分に物理学者は無理かな」と思って諦めてしまいました。ただ、数学や物理学などに興味があったので、とても面白かったんです。

――今回の撮影では、どんな出会いがありましたか?

撮影中には、ティルダ・スウィントンの友人で仏教徒の僧侶がセットを訪ねて来てくれました。私は当時の話をしながら、チベットの寺院で英語を教えていた思い出を振り返ったり、東洋哲学のことを語ったりして、とても楽しい時間を過ごしました。

そういった瞑想やスピリチュアリズムを自分の中に取り込むことで、集中力が高まり、役に入りやすくなります。特に本作のようなファンタスティックでスペクタクルな世界を舞台にした映画で、地に足のついた演技をすることにおいてはとても役立ちました。

また、現実というのは精神の力でどうにでも変えられるということが、この映画のテーマともリンクしていると思いました。自分自身の精神力によって現実というものは定義できる、それが東洋哲学には理論としてあるんです。

――では、ドクター・ストレンジというキャラクターにも過去の経験がかなり反映できたということですね。

僕は役者としてキャラクターになりきるには、そのキャラクター自身が抱える信念、哲学、信条などに100%共感できないと演じ切れないと思っています。そういう面でいえば、自分に土台があったということで役に入りやすかったですね。

映画や舞台の現場は常にバタバタしていて、気が散ることがたくさんあります。そこでノイズをシャットアウトして集中するのは結構な技が必要なのですが、そういった時に瞑想などで集中できたからとても良かったです。もちろん偶然ですが、19歳の時に経験したことが一周回って、こういう形で助けになっていることにとても運命的なものを感じています。

■プロフィール
ベネディクト・カンバーバッチ
1976年7月19日、イングランド・ロンドン生まれ。数々の舞台で経験を積んだ後、2004年のテレビ映画「ホーキング」で注目され、テレビシリーズ「SHERLOCK(シャーロック)」(10〜17)で人気を博す。映画は『戦火の馬』(11)、『ホビット』シリーズ、『それでも夜は明ける』(13)、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(13)などに出演。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14)の天才数学者役で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。
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(山崎伸子)