連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第18週「守るべきもの」第100回 2月1日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田真三


100話はこんな話


大事な工場を買収されて困るすみれ(芳根京子)をみかねた五十八(生瀬勝久)は、「助けたってくれへんか、力貸してくれへんか」と栄輔(松下優也)に頭を下げる。

お父さんがいなくなってしまったら・・・


久々登場し、思い出話をする99話から、お父さん(五十八)のお別れフラグを薄々感じていたら、100話でやっぱり、遺言のような名言「分からん事もあるし ままならん事もある。そやけどそういう事は一生かけての宿題やと思うてたら人はいくつになっても成長できる」「それは仕事だけに限ったことやないで」
を語ったあと、体調が思わしくない場面が。
だが、生瀬勝久が若々しく、さくら(井頭愛海)が「おじいちゃん」と呼んでも誰のこと呼んでいるんだ? と思ってしまうほどで・・・。
このドラマの誰よりも活気のある生瀬勝久。おみやげがわらび餅ってところも「トリック」を思い出させるやないかー(上田(阿部寛)の好物でしたっけ)。それはそうと、生瀬勝久が語ると空気が跳ねる。このひとがいなくなると、忠さん(曾我廼家文童)も役割的にメインじゃないし、あとは森永悠希(龍ちゃん)にがんばってもらうしかなくなる。さすがに重荷でしょ、それは。

ホッとした


お父さんもそろそろ退場のようだし、仕事にも子育てにも壁が立ちはだかって、すみれ、大ピンチ。家電が連鎖的に壊れるように、アクシデントが重なるのが人生だ。

メリヤス工場の職人・橋詰(佐川満男)が大急に、孫のために赤ちゃん用品を買いに来たとき、会話している間、まさか、買わせないよね? 差し上げて! と「8時だヨ!全員集合」の「志村うしろ!」みたいな気分になったが、プレゼントしてホッ。

その橋詰が、武ちゃん(中島広稀)がいつも現場を見てくれたことが「わしらは励みになった」「嬉しかったんですよ」と言って、これまたホッ。武ちゃんは経営者よりも現場の人と親しくしていた。それはとても良いことだ。ただ、仕事として工場担当になって、それなりに野心もあっただろうから、ちょっと気配りが足りなかったね、というところで今後の課題にすればいい。


五十八に連れられて大急に来たさくらは、栄輔から、すみれがスピーチで、子供はどう生きてもいい、と言っていたことを聞かされる。
なんだかんだで栄輔、やっぱりやさしい。なにせ、短いとはいえさくらの育ての親だもの。五十八にはいたって礼儀正しく振る舞っているし。結局、栄輔は、失恋の傷が癒えてないだけなのだろうなあ。決して手に入らないすみれとさくらとの家族生活願望に苦しみ続け、毎年、桜を見るたびにもがいているのだろう。切ない。こんなふうに観る者にどうにもならない感情(「カルテット」的にいうと「みぞみぞ」?)を味合わせることは、作劇として成功ではある。

どう生きてもいい、と聞いたさくらはヨーソローに行く。あーもー。
最初は堂々として見えたのに意外と小心者の二郎(林遣都)に「成功すると思うか?」と聞かれ、「当たり前やないの」と励ます。なんかすっかり二郎の女気取りか。五月(久保田紗友)を差し置いてぐいぐい行く。ひとつのことに夢中でまわりが見えないところが、母にそっくりだ。

それにしても二郎は、支えてくれる女がそばにいないとダメな、絵に描いたようなバンドマン化していて、笑った。

(木俣冬)