オフィスアイリスHPより

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 一体、なぜこの人選......? 一昨日、多くの人が首をかしげざるを得ないニュースの見出しが躍った。

「東京五輪聖火リレー検討委に泉ピン子さん」

 日刊スポーツの記事によれば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会でおこなわれる聖火リレーのルート選定の基本方針をまとめる「聖火リレー検討委員会」のメンバーに、泉ピン子や林真理子が起用されることが決まった、というのだ。

 泉ピン子にしても林真理子にしても、スポーツのイメージは皆無に等しく、せいぜい"リバウンドを繰り返すダイエッター"という印象だ。なのに、なぜか「聖火リレー検討委員会」のメンバーになるというのだから、疑問に感じるのは当然だ。

 だが、ピン子は五輪組織委の顧問でもあり、今回はその関係もあり聖火リレー検討委メンバーに選ばれたらしい。では、なぜ国際的なスポーツイベントの運営・事業をおこなう組織委員会の顧問に、場違いなピン子が起用されているのか、という新たな疑問が浮上してくる。

 しかし、その答えは簡単だ。じつは、五輪組織委の会長である森喜朗元首相とピン子は昵懇の仲なのだ。

 森といえばピン子と同じ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS)ファミリーである故・宇津井健と古い友人であったが、森はピン子とも関係が深く、苦戦を強いられた2009年の総選挙では、なんとピン子は2回も森の地元・石川県に応援に駆けつけたほど。その際、ピン子は、08年に公開された出演映画『能登の花ヨメ』が、森が掛けあったことで文科省の予算がつけられたのだと明かしたという。

 また、「週刊文春」(文藝春秋)2017年1月5日・12日新年特大号に掲載された記事によれば、昨年12月に開かれた森の資金管理団体「春風会」主催の政治資金パーティ「森喜朗忘年例会」にもピン子は出席。この席上で森は、天敵・小池百合子東京都知事のことを「新宿におられる立派な役所の上にいるあの女性」呼ばわりし、「オリンピックをなにか邪魔者扱いして悪者の巣みたいにしてしまった......誰かとは言いませんよ、それは大体お分かりでしょうけど、それだけが本当に残念なことですね」と語ったという。

 五輪に巣くっているのはどこのどいつだよ、とツッコみたくなるが、この森の後にスピーチに立ったピン子は、森の挨拶を受け、小池をこう揶揄したという。

「先生がダメな時は四者会談、私が行きますよ。向こうが緑なら私はピンクかな」

 そして、ピン子は五輪組織委の顧問に就いていることにもふれ、「そういうのやるとみんな近づいて来るんですね。(五輪の)入場券の欲しさに。それは一枚も受けないことに決めております」と話したという。

 つまり、選挙戦にも応援に駆けつけてくれる仲良し女優との"絆"の証しとして、森は五輪組織委の顧問および聖火リレー検討委メンバーに有識者でもなんでもないピン子をねじ込んだ、というわけだ。

 もう溜息しか出てこないが、森によるピン子のゴリ押しは、何も驚くようなことではない。実際、森はこれまでも組織委会長という立場を"悪用"して東京五輪を"私物化"してきたからだ。

 たとえば、大騒動となったエンブレム問題や新国立競技場問題の主犯は、言わずもがな森だ。パクリ疑惑の挙げ句、白紙撤回されたエンブレムのデザインについては、森会長が審査委員会で選ばれた案に注文をつけ、佐野研二郎氏にやり直しをさせていたことが判明。新国立競技場についても、ザハ・ハディド案が3000億円以上かかるということが発覚して国民からの強い批判を受けても、2500億円に修正しただけでそのまま進めた。その結果、もっと金がかかることや工期に間に合わないことが次々と露呈して白紙撤回という事態になったのだ。

 だが、もっとも醜いのは、森会長と大手ゼネコンの癒着疑惑だ。新国立競技場問題から囁かれてきたように、大成建設と森会長は"深い関係"にあると見られ、「週刊文春」(文藝春秋)9月15日号では森事務所で資金集めを行っていたという元関係者が「多くのゼネコンとお付き合いがありましたが、最も近いのが大成」「特に、森氏の元金庫番と大成の幹部とはズブズブと言っていいほどの親しい関係」と証言。

 そして、その関係を象徴するように、建設費をめぐって批判が高まったものの森会長がゴリ押してしまった「海の森水上競技場」は、大成建設のジョイントベンチャー(JV)が落札率99.99%にあたる約249億円で落札。大成建設はザハ・ハディド案および白紙撤回後の隈研吾案でも新国立競技場の受注に成功しているのである。

 さらに、森会長には、東京五輪招致、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」への暗躍も囁かれている。詳細は本サイトの既報にある通りだが、一貫して森は国立競技場の改修および神宮外苑地区の再開発を主張してきたが、じつは新国立競技場を核とする神宮外苑再開発計画は、いまから10年以上前にすでにもちあがっていたものだ。

 実際、04年6月、巨大広告代理店・電通が「GAIEN PROJECT「21世紀の杜」企画提案書」なる企画書を作成し、ゼネコンや都庁、政界関係者などに持ち込んでいたことがわかっている。この企画書には、外苑誕生100周年と東京五輪招致を組み合わせて、神宮球場をドームにする計画などの明治神宮が所有する土地を含む神宮外苑の再開発プランが示されていた。だが、この企画にはさらに元があった。それは、電通の企画提案書が作成される1年前、JEM・PFI共同機構というゼネコンなどが加盟する団体が提案した「東京都防災まちづくり計画事業提案書」だ。この計画は、神宮外苑を防災拠点とするという名目で高層マンション建設を提言するもので、電通の「GAIEN PROJECT」はこの計画を発展させたものだと思われる。

 しかし、問題はこれを作成したJEM・PFI共同機構の正体だ。まったく聞きなれない名前の団体だが、この団体の代表は米田勝安氏(故人)といって、江戸時代後期の国学者・平田篤胤を祀った平田神社の宗家6代目当主であり、森喜朗会長の親友と言われていた人物なのだ。

 つまり神宮外苑再開発は、明治神宮に太いパイプをもつ米田氏が立ちあげ、森会長が米田氏の協力依頼を受けて電通やゼネコンを巻き込んで本格的なプロジェクトに発展させていったと考えられるのだ。また、東京都は新国立競技場の建設に絡んで建物の高さ制限を75メートルから80メートルにまで緩和し、一昨年より神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出したが、この規制緩和の背景にも森会長が関わっていたのではないかという疑惑もある。そして、この神宮外苑地区再開発もまた、森会長と親しいゼネコンが建設を受注する可能性はかなり高い。

 人事から建設利権にまでおよぶ森会長の暗躍を考えれば、果たして東京オリンピックは誰のものなのか、その答えが見えてくる。この森会長の私物化を黙認しているのは他ならぬ安倍首相だが、こっちはこっちで「共謀罪がないと東京五輪は開けない」などと言い出し、五輪を共謀罪成立のダシに使おうという浅ましさを剥き出しにしている。

 こんなふうに森会長や安倍首相といった権力者のオモチャにされるのなら、東京オリンピック開催は即刻返上したほうがいいだろう。
(編集部)