【危険】サイドブレーキを引いたまま走ると重大なトラブルの可能性あり!

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過去に火災の原因になった例もある

正確な数字は分からないが、サイドブレーキを戻し忘れて走っていたという経験がある人は意外に多い。AT車の普及で、サイドブレーキ(正式にはパーキングブレーキ)が、足踏み式になったり、純正ナビなどがサイドブレーキを引いた状態でなければ操作できないクルマだったりすることも影響しているかもしれない。もし解除し忘れたまま走るとどうなるか?

一番わかりやすいのは、いつもより加速が鈍くなること。ブレーキがかかりっぱなしなのだから、当然、アクセルを踏んでも思ったより走らなくなる。

この時点で違和感に気付くのがまともなドライバーというものだが、注意散漫(これも危険)な人や、クルマに慣れていない人は、そのまま走り続けてしまうというケースも……。

その他、いつも以上にバイブレーションを感じたり、走る距離が長くなると、車内に焦げ臭いにおいが漂ってくることもある。では、サイドブレーキを引きっぱなしで走ると、どのような問題があるのか。

まず、加速が鈍くて、燃費が悪くなる。次に、ブレーキシュー(パッド)が焼けて、フェード現象が起きたり、熱の影響でブレーキフルードに気泡が入り、ペーパーロック現象が起き、ブレーキが利きづらくなったり、利かなくなったりする。

さらには、ブレーキフルードが洩れてきたり、最悪火災につながった例もあるので、サイドブレーキを戻し忘れる癖がある人は、軽く考えないほうがいいだろう。

なんでもないコーナーでスピンするリスクも

また、あまり指摘されていないが、サイドブレーキが引きっぱなしだと、コーナリングの際、テールが急に流れてスピンする可能性も大きくなる。

とくに、フットブレーキをかけたまま、ハンドルを切りこんでいくと、何でもない速度、何でもないコーナーのRであっても、いきなりリヤがスキッドすることがある。雨の日などは、そのリスクが何倍も増すので、怖い思いをすることも覚悟しておいた方がいい。

最近は、「パーキングブレーキ戻し忘れブザー」付きのクルマも普及してきているが、逆にいえば、それだけサイドブレーキの戻し忘れが多いことも意味している。

こうした機能がなくても、どんなクルマにもメーターパネル内に、サイドブレーキが効いていることを知らせるブレーキ警告灯が標準化されているので、それを見逃さなければ防げるのだが……。

クルマの運転がイージーになり、いろいろ親切機能がつくのはいいのだが、「フールプルーフ(人間が間違えても危険にならない工夫)」には限界がある。

もう少しドライバー一人ひとりがクルマの機能を頼りっきりにせず、1トンクラスの大きな塊を高速で動かしていることの自覚と責任を持ってもらわないと、事故やトラブルは尽きないのではないだろうか。

なお、サイドブレーキを戻し忘れて焦げ臭いにおいが出るまで走ってしまったら、直ちに停車し、20〜30分ブレーキを冷ましてから、サイドブレーキがきちんと利くか確認。さらに念のためディーラーか整備工場に持ち込んで、ブレーキシューの状態や残量、フルードの漏れなどがないか点検してもらおう。