米入国禁止の大統領令は「見当違い」 過去15年のデータが証明

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ドナルド・トランプ米大統領は1月27日に署名した7か国の市民の入国を90日間にわたって禁じる大統領令について、テロの脅威から米国を守るためだと説明している。

だが、イスラム教徒が多くを占めるこれら各国(シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメン)を対象としたこの措置によって、米国は本当に安全になるのだろうか?シンクタンクのニュー・アメリカ財団が公開したデータは、その可能性が低いことを示している。

2001年9月11日の同時多発テロ事件は、確かに外国人による犯行だった。だが、その後に米国内で起きた「イスラム聖戦」と称されるテロ攻撃の大半は、自国市民または合法的な居住者によるものだった。入国を禁止された7か国の市民が、死者を出すテロ攻撃を行ったことはない。

下記のとおり、9.11同時多発テロ以降に米国内で発生したテロ事件に関与した者の82%にあたる190人は、米国市民だった。難民や不法移民の数はわずかだ。

「イスラム聖戦」テロに関与した容疑者の数

米国生まれの市民 190人
帰化した米国市民 82人
永住権取得者 43人
不明 39人
難民 12人
非移民ビザ取得者 11人
在住資格が不明 11人
不法移民 8人

出典:「Terrorism in America After 9/11(9.11同時多発テロ以降に米国内で発生したテロ事件)」(ニュー・アメリカ財団報告書)

逆効果の恐れも

共和党のジョン・マケイン、リンジー・グラハム両上院議員はこの大統領令を受け、「米国をより安全にするのではなく、テロリストを増やすことにつながる可能性がある」との声明を発表した。過激派組織イスラム国(IS)掃討に向けてアリゾナ州の空軍基地で行われてきたイラク空軍パイロットの訓練にも、影響が出る。

別のシンクタンク、ケイトー研究所の調査によれば、米国内で発生した殺人事件で死亡した人は、外国人によるテロ事件に巻き込まれて死亡した米市民の253倍の数に当たる。外国人に対する恐怖心を利用することは、ほぼ間違いなく見当違いだといえる。